データセンター事業者の米エクソダス・コミュニケーションズは,6月11日,ベンチャ企業の米Ejasent(アジャセント)と提携し,エクソダスのユーザー向けに,Webサイトのパフォーマンスを向上させるサービスを開始した。アプリケーション・プロセッシング・ネットワーク(APN)という枠組みに基づいた,CPUキャパシティ・オンデマンド型のサービスである。エクソダスは,Ejasentが開発したインフラをデータセンターに設置し,Ejasentのサービス「UpScale」をOEM販売する。ただし,対象はSolaris環境で稼働するアプリケーションのみ。

 UpScaleは,いわゆるコンテンツ・デリバリ・ネットワークとCPUキャパシティ・オンデマンドを組み合わせたサービス。コンテンツ・デリバリはWebアクセスをネットワーク上の複製サーバーに分散させる仕組み。一方のCPUキャパシティ・オンデマンドは,必要に応じて利用できるCPU数を動的に増減させる仕組みである。多くの場合,Webサイトはピーク・トラフィックを見込んで,構築・運用するサーバーのキャパシティを決める。ただ,こうするとトラフィックが少ない期間は,コンピュータ・リソースが無駄になってしまう。それだけ余分なコストがかかっていることになる。UpScaleは,こうした問題を払拭する。

 UpScaleでは,ネットワーク上に分散配置した複数のサーバー・ファームを仮想的に1台のサーバー(バーチャル・シングル・サーバー:VSS)として動作させ,各分散サーバーにアプリケーションを複製する。オリジナルのWebサイトの処理を,VSS上の複製サーバーに分散させることで,サーバーの負荷を軽減。同時に,エンドユーザーから見て最寄り(一番レスポンスが速い)のサーバーを選び,処理を実行させることで,Webアクセスのパフォーマンス向上を実現する。さらに,VSSを構成する各サーバー・ファーム内では,トラフィックに応じて,そのトランザクションに割り当てるCPU数を増減させる。必要なCPUリソースを必要な期間だけ利用できるようになるうえ,VSSのCPU使用量によってサービス料金が決まるため,Webサイトは,コンピュータ・リソースにかけるコストを最低限に抑えつつ,エンドユーザーに対するサービス・レベルを維持できる。
(Y.K)