NTTドコモNTTデータ,ソニー3社が参加する「モバイルeコマースプロジェクト」(プロジェクト委託元は総務省の認可法人である通信・放送機構)は,2001年8月から来年1月まで,札幌で「非接触ICカードと携帯情報端末を利用したEコマースシステム」のフィールド実験を実施する。

 札幌では,すでに1999年11月から札幌総合情報センターが,ソニーの非接触ICカードを使い,札幌市営地下鉄の「電子乗車券」や自動販売機で使う「電子マネー」(これらを合わせて「電子バリュー」と呼ぶ)を提供する「SMAP(Sapporo Multi Access Port)」カード実験を実施している。この実験では,駅などに設置した入金機を使ってカードに電子バリューを付加していた。

 今回の実験は通信機能内蔵のPDAを使い,入金機なしで直接に電子バリューをオンラインで購入し,非接触ICカードに書き込んで使えるようにしたのが特徴。また,カードを利用できるサービスも拡大した。現在,市営地下鉄の20駅にある改札66台と駅構内などにある自動販売機8台がICカードに対応済みだが,今回の実験ではコンサートの電子チケットも購入できるようにし,コンサート・ホールにICカード対応の入場ゲートを設置する。その場合に,トランザクションの安全性や実用性を検証するものである。

 実験に使用するのは,(1)ドコモのパケット通信サービス「DoPa」対応の通信モジュールを内蔵したカシオのポケットPC「カシオペアE-707」にソニー製のICカード・ライターを取り付けた実験用端末,(2)ソニーの非接触型ICカード「Felica」――の2つ。

 まず,モニターはユーザーを認証し電子バリューを発行してもらうため「モバイルe-コマース実験センタ」に接続し,電子バリューを購入する。このとき,センターとユーザー間の通信は,SSL v3で保護される。決済には,NTTデータが提供するクレジット・オンライン・システム「CAFIS (Credit And Finance Information System)」を使う。モニターの購入記録は,札幌総合情報センターのデータベースに蓄積,まとめて各事業者へ支払われる。

 モバイルeコマースプロジェクトでは,近日札幌市を中心に約300名のモニターを公募する予定である。(Y.Y.)