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特別編 IT業界は女性にとって働きやすいか?

2004/06/16

 本連載の著者グループ「TeaTime」が1冊の本を出した。上司や部下との付き合い方,困難なプロジェクトの乗り切り方,転職やスキルアップの方法,家族への思いなど,ベテラン女性たちがITの職場や家庭で体験したことをホンネで語った本だ。

「女性ITプロフェッショナルのホンネ会議――男だらけの業界で生きる55のヒント」
(TeaTime著 日経BP社刊)


 今回は特別編として,全国各地にいるTeaTimeメンバーがメーリングリスト(ML)で語りあった「ホンネ会議」の様子をお伝えする。

IT業界は男女平等と言われるが,ホント?

風間:IT業界は他の業界と比べると男女平等と言えるでしょうね。そうでない部分もたくさんありますけど。でもそれはIT業界特有のことではなく,日本社会の構造的な問題。仕方のない部分もあります。何もかも同じにすれば平等というわけでもないし……。

荒井:確かに昔は女性というだけで敬遠するお客様もいらっしゃいましたけど,最近は客先に出ると,以前より平等に扱ってもらえる感じがします。

花城:私も,他の業界よりいいと思います。実力で勝負できる土壌はあると思う。ただ,制度があってもきちんと運用できているかどうかは別問題。

梓:そう,実力があればある程度の地位を確保できる。でも結局は,専門職だからと一言で片付けられ,ゼネラリストとして育成される機会が少ないですね。

鈴木:そうです。社内を見ると若いうちはかなり平等に評価されていますが,30歳前後からはグラスシーリングがあるように感じます。社内を見渡すと女性の管理者は少ないし,女性が中核になっている大規模プロジェクトも少ない。

室井:同感。とにかく女性にはチャンスが少ない。選抜制の研修は素通り。リーダーとしての経験を積みにくく,「経験がない→仕事がこない→経験を積めない」という魔のサイクルから抜け出しにくい。

五十嵐:会社は「女性より男性の方が長期間働いてくれる」と考えているのでしょう。そのことが,チャンスや教育での差別につながると思う。

安部:定時外でも,女性は男性と比べて飲みに行く機会が少なくて,上司や同僚とのコミュニケーションが少ない。これはけっこう大きな問題です。

市村:私は公務員としての経験がありますが,早くから賃金も男女同じでした。でも,平等といっても定時までに仕事が終わらないほど忙しい点も平等で(笑),子供を持ちながら働くのはかなりしんどい。だから自然淘汰で男が残ってるような感じです。

安部:やはり子供のことが大きいですね。独身時代から結婚までは男女平等だと思います。でも,出産を契機に途端に男女格差が出てきます。これは,子育てのために残業ができないとか,子供の病気や学校行事で母親が仕事を休むことが多くなるからです。そもそもIT業界は残業や出張が多く,子育てによる制約を許容してまで女性に活躍の場を与える会社は少ないし,女性たち自身の意識も,男女間の格差を受け入れてあきらめてしまう傾向があります。

室井:残念ながら,女性が男性を仕切る姿を快く思わない方々がまだまだ多数派で……。

花城:私たちはプロジェクト体制で仕事をするので,チームにそういう古い考えの人がいると,影響を強く受けやすいのは残念です。

女性で良かったことはある?

風間:女性が少ないので,お客様にすぐ覚えていただけること。これは良い点ですね。

全員:同感!

荒井:はっきりものを言っても,女だと角が立たないし……と思っているのはこちらだけかな?

市村:Webのデザインなどをしていると,女性としてのセンスは生かせると思います。

風間:悪い点は,できないと「だから女はできない」と見られてしまうこと。逆にできると「女のくせに」となってしまう。

梓:そう,決め付けられるんですよね。女じゃなくて個人の問題なのに。

安部:女性は細かくて正論ばかり言って融通がきかない,と思っている男性がけっこういるので驚きます。女性全体をひとくくりにしている。男性だってそういう人はいるのにね。

花城:人数が少ないから,良くも悪くも目立つことは確かですね。期待されすぎたり,反対に見下されたり。

安部:仕事で実績を上げると男性より目立つのは良い点ですね。でも目立ち過ぎるとたたかれる……。

荒井:昔は女性というだけで下に見られました。さすがに最近、そういうことは少なくなりましたけど。

安部:今でもやはりありますよ。位置づけや役割を上司が勝手に決めてしまい,本人の能力に関係なく,女性はみな同じ仕事の内容になったりしています。

鈴木:それを逆手にとると,あまり重要視されていないため,多少組織から外れていても潰されるリスクは少ないとも言えます。複雑なのは,女性であることを理由に評価されたとき。「女なのによくここまでがんばった」みたいな。「女性」をネガティブな評価軸として考えている。これはちょっと喜べないな。

仕事の悩みは?

花城:最新技術のキャッチアップと,品質向上,コスト削減,生産性アップですね。これはITエンジニアの永遠の課題です。現在,UMLで悩み中……。

安部:仕事のやり方や考え方で上司との不一致が悩みです。自分で考え行動する人より,仕事をしなくても上司に従う人が重宝されるのはおかしいと思う。

五十嵐:優秀な部下がいないこと。育てようがない。

荒井:私の場合は新人以外の人の教育。はっきり言って無理かも。

市村:仕事をしたくても,子供や家庭のことであまり働けないこと。

風間:私は営業が一番の悩み。今は独立系コンサルですが,半分ボランティアのような仕事も多くてちょっと苦しい。そこを打開すべく,同業者のグループを作ったりしている最中です。

梓:雑多なことが多すぎて,悩む暇すらない……。

室井:私もです。予定外の割り込み仕事に毎日振り回されて,じっくり考える仕事は夜しかできない。

鈴木:私はモチベーションの維持とキャリアパスですね。この業界は最新の技術を追いかけ続けなきゃいけない宿命があって,下手をすると,ただ振り回されてるだけになりかねない。自分の着地点を見据えて,それに沿ったキャリアパスの形成が必要です。これがなかなか難しい……。

プライベートの悩みは?

五十嵐:まず,忙しすぎること。

安部:私も。自分の自由な時間を確保できない。何も考えないで のんびりと過ごす時間がほしい!

市村:勉強する時間がほしい〜!! 読もうと思って買った本が山になってる(苦笑)。

風間:私は介護問題。子育てが終わりつつあると思ったら今度はこれ。これが終わると自分が年取ってる……。男性でこういう悩みを持つ人は少ないんでしょうね。

市村:子供の親同士のつき合いがけっこう大変。今年は幼稚園の父母会の会長になってしまった。どこの母親も仕事をしているから,「仕事があります」と言って逃げるわけにいかなくて。夫が少しでも手伝ってくれるといいんですけどね。

梓:私は健康。

鈴木:私も。体あっての仕事。

室井:最近,彼に「老けた」と言われた……。

花城:若い頃とは明らかに身体と心の調子が変わってきましたね。人生後半をいかに健康で幸せに暮らすか、ちゃんと考えないと。

最後に,男性たちへ

安部:女性としての固定概念で見るのではなく,1人の人間として能力を見ていただきたいですね。

風間:そう,女性であることをあまり意識せずに,男性と同じように扱ってもらえれば十分です。

五十嵐:上司や同僚として尊敬できる男性は,女性だからといって差別しない人が多いみたい。

鈴木:女性が働きやすい職場は,みんなが働きやすい職場です。

梓:働きやすくするために,一緒にがんばりましょう!

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