情報システム

IT資格ゲッターの不合格体験記

日経SYSTEMS

第17回 情報処理技術者試験「アプリケーションエンジニア」
「論文恐怖症」で試験が嫌になった私が立ち直った理由

試験の名称と概要: 情報処理技術者試験「アプリケーションエンジニア」
経済産業省の情報処理技術者試験の1つ。情報システム開発者の立場で,情報技術を活用してシステム計画,要件定義,設計,テスト,移行をリーダの立場で行う能力を認定する。試験科目は,午前(選択式),午後I(記述式),午後II(小論文)の3部構成で,合格率は6%前後。

筆者略歴: 芦屋 広太(あしや こうた)
IT系の人材コンサルタント。大手金融機関などでのシステム開発経験を活かした人材教育を行う。システムアナリスト,システム監査技術者,アプリケーションエンジニア,2級ファイナンシャルプランニング技能士。ドクターエーロンの論文治療クリニックを主催し,毎年多くの試験合格者を輩出する。日経コンピュータに「選ばれるSEの条件」を連載中。著書に「Dr.芦屋のSE診断クリニック」(翔泳社),「情報処理 はじめての午後II論文攻略ゼミ」(経林書房),「アプリケーションエンジニア合格論文集」(リックテレコム)がある。

 毎年7月から10月末まで,私のサイト「論文治療クリニック」は全国の試験受験者(論文患者)からの相談や論文添削のコンテンツでにぎわう。私は毎年この期間,サイト運営に忙しいが,夜中に作業をしながらふと,今は“論文治療医師”として活動している自分が,かつて重症の“論文恐怖症患者”だったときのことを思い出す・・・

 私がアプリケーションエンジニア試験に合格したのは平成10年(秋)のことである。なお,はじめて受験したのは平成6年(秋)だった。また,平成6年から9年までの4年間のうち,2回は試験会場に行ってない(敵前逃亡)。試験を受けた2回についても午後II論文の途中で逃げ出すというていたらくであった。つまり,2回の受験前逃亡,2回の論文途中逃亡という,資格ゲッターにはあるまじき粘りのない「論文恐怖症候群」だったわけである。では,私がどうやってこの難病を克服したか・・・克服ついでになぜ,論文治療医師になったのか振り返ってみよう。

午後IIの開始1時間で絶望的に・・・

 アプリケーションエンジニアの午後IIは論述試験で,合計3000字程度の記述が要求される(最低は2400字)。問題用紙に書かれたテーマ3つから1つを選んで解答する。解答は3つの設問から構成されており,それぞれ設問ア,イ,ウと呼ばれる。

 設問アは,出題されたテーマと解答者(自分)のかかわりや全体の計画,状況について800字以内で記述する。設問イはテーマに対する自分の主張である。ここで,問題解決の工夫や手順を述べることになる。記述量は最低1200字くらいである。設問ウは,振り返りを記述する。400〜800字以内で書く。とにかく記述量が多いのだが,2時間で初めて見るテーマに対応するのだから,慣れない人には結構大変な試験なのである。

 どうして自分がアプリケーションエンジニア試験に合格しないかはよく分かっていた。午前,午後Iは問題なくスラスラ書けるのだが,午後IIが始まって30分経過したころから激しい動悸(論文パニック症),開始1時間後にはあきらめの境地(論文無気力症)になり,さっさと家に帰ってしまうからだ。

 初めての試験(平成6年)のときは「初めての試験だから,今回は午後IIの論述でできなくても仕方ないや。今回は午後IIの雰囲気を味わうだけで十分!」という,変な納得(自己肯定)をしていた。しかし,いま考えれば変な論理だと思う。試験の雰囲気を味わうために受験をするという「受験料を無駄にする行為」を自分に許すこと自体問題である。つまり,私は非常に甘い考えで目標を実現できない「自己実現力欠乏症」だったのだ。

 しかし,これではいけないと思った。そこで私は何とかアプリケーションエンジニアに合格したいと思い論文を書けるように準備をした。しかし,その準備とは試験の1週間前にワープロで論文を書くというもので,いま考えると非常に不十分な論文対策だった。翌年(平成7年)の試験では,やはり午後IIでは何も書けず,家に帰って悔しさのあまり酒で憂さをはらす(軽度アルコール依存)状態だった。

 その後2年間はまったく論文がある試験を受験するのが嫌になったのである(重度の論文恐怖症)。

よき治療者との出会い・・・

 アプリケーションエンジニアはどうしても合格したかったが,とにかく論文が嫌いだった。自分で準備する方法もわからなければ,どう書いてよいのか,何を書けばよいのかまったくわからない。書籍をたくさん購入したが,当時具体的に論文を掲載しているものや,論文の具体的書き方,心構えなどを解説しているものはなかった。

 平成10年に,会社が外部講師を招いて論文講座を実施するという話を聞いた。私は本来,人に教えてもらうのがあまり好きではない(これが不合格の最大の理由と思うのだが)。だから受講をどうしようか迷ったが,私はどうしても合格したい理由があった。所属の部下(優秀人材)がこの論文講座を受講すると言ったからだ。部下に先に合格されては困る。そこで,論文講座を受講することにした。これが私を論文嫌いから救ったのである。

 論文講義では,論文の書き方や心構え,テクニックをたくさん教えてもらい,実際に練習を10本以上行った。それを講師に見てもらいどこに問題があるかを具体的に指導してもらうことで,講座が終わるころにはほぼ問題ないレベルと講師に言われるようになった。これが自信となり,平成10年(秋)に念願のアプリケーションエンジニアに合格したのである。これは本当にうれしかった。

合格のポイント・・・専門家の治療

 午後IIをすべて独学で準備するのは非常に危険と思う。なぜ合格しないのか分からないと,どのように勉強してよいのか分からず,私のような“論文恐怖症”に陥ってしまうからだ。私がいま,サイトで指導している“患者”も,5〜6回以上連続不合格になっている人が多い。1〜2回不合格になったら,迷わず専門家に相談するのが合格の早道だと思う。

 [2003/09/25]

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