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IT資格ゲッターの不合格体験記

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第9回 情報処理技術者試験「データベーススペシャリスト」
「データベース技術者に求められるもの」の理解が合否の分かれ目

2003/01/24
試験の名称と概要: データベーススペシャリスト
情報処理技術者試験センターが実施する試験の1つで,情報システムの根幹であるデータベースの専門家のための試験。情報資源およびデータベースを計画・設計・構築・運用・管理する業務を対象としている。データベース設計,障害対策,セキュリティ対策など,データベースに関わること全般の知識・経験・実践能力が問われる。現在は名称が「テクニカルスペシャリスト(データベース)」と変更されている。

筆者略歴: 下谷 幸信(しもや ゆきのぶ)
メイテツコム勤務。名古屋鉄道にて半年間,駅員,車掌を経て,現在の会社へ出向。業務システムの構築,ネットワーク構築などに従事。保有する資格はITコーディネータ,システムアナリスト,システム監査技術者,アプリケーションエンジニア,オラクルマスター,MCP。

 1995年(平成7年)7月7日(スリーセブン!),平日にも関わらず,私は休みをとっていた。何も会社をサボってパチンコに行こうと思ったのではない。この日は,人生でたった一度(の筈)の記念すべき日。2年間付き合っていた彼女と入籍した日だった。朝,いつもよりのんびりと朝食を食べ,さぁ,市役所に行こうとしたその時,一本の電話が鳴った。これが,それから4年間続くデータベーススペシャリスト(以下,DBS)への道に続くことになるとは,そのとき気づくはずもなかった。

 電話の向こうでは,同期入社の女性が「おめでとう」と言っていた。最初は,何のことだか分からなかったが,その年の春受験した,情報処理技術者試験の第1種に合格したことをわざわざ知らせてくれたのだった。入籍と重なり,ダブルの喜びに浮かれた私は,このときから,次第に「次はデータベーススペシャリストを取得しよう」と思い始めていた。

 「データベーススペシャリスト(DBS)」は,現在では「テクニカルスペシャリスト(データベース)」と名称変更している。でも,試験に求められることは当時と何も変わっていない。

オラクルの試験は既に合格

 95年はホスト中心システムから,クライアント/サーバー・システムへの移行が流行り始めていた頃。私が所属する会社でも,ホストで動いていたシステムを,UNIXサーバと出始めたばかりのWindows3.1を搭載したPCをクライアントとするクライアント/サーバー・システムに移行するプロジェクトが発足した。新人だった私は,社内では経験者がいない,オラクルのデータベース管理ソフトの導入を担当することになった。その頃オラクルは一定レベルのデータベース知識を持つ技術者を認定する制度を確立しており,私は社命により,今で言う「オラクルマスター(プラチナ)」(当時は「オラクル認定技術者(OCE)」)を取得した。

95年に初挑戦,結果は不合格。その後2度受験するも,いずれも不合格

 95年に初めて,DBSに挑戦した。試験勉強は過去問題集を購入して,行き帰り通勤電車のなかで,読むくらいのことしかしなかったが,なぜか自信だけはあった。なにせ私はオラクルの資格保持者だったからだ。「並みの受験者とは格が違う」と思い上がっていた。当然,試験中も自信満々。私は自分の考えで答案用紙を埋め尽くした。「ふっ,楽勝だぜ!」──。試験が終わったあとは,わけもなく充実感で満たされていた。

 しかし結果は不合格。でも,失敗の原因は「採点者が俺の考え方を理解できなかっただけじゃないか」というぐらいにしか思っていなかった。今思うと,顔から火が出るくらい恥ずかしい経験だ。

 97年,98年と受験したが,いずれも結果は不合格。特に3回目の98年は,通信教育まで受講して試験に備えたというのに……。さらに追い打ちをかけるように,この試験で1年下の後輩が先に合格してしまったのだ。1回目からの根拠のない自信は,もろくも崩れ去った。ここまできてようやく,「なぜ合格しないのだろう」と原因を考えるようになった。

講師の言葉に目からウロコが…

 98年の秋,気分転換のつもりでアプリケーションエンジニア(以下AE)を受験することにした。でも,このときも「AEって何」とは深く考えずに,漠然と参考書を読んだり,過去問題集を解いたりしていた。

 この年,会社はAEの午後試験対策として講師を招いた。その講師は,試験問題の解説をするのもそこそこに,「AEとはどんなことを求められている技術者なのか」,そして「試験は何を問うているのか」を繰り返し強調した。そのとき私は目からウロコが落ちる気がした。

 今までの試験対策は,漫然とテキストを読んで,過去問題集をこなすだけのことしかしておらず,今,自分が受験しようとしている試験科目は,何を求められているのかなど考えたこともなかった。でも,その講師の言葉をきっかけに,資格試験に対する勉強の仕方が変わった。

 まず,自分の仕事(アプリケーションの設計および開発)とAEの教科書に書いてあることを関連付けした。例えば画面の設計をするときは,「今,AEの教科書でいう『外部設計』をしているのだな」とか,「今,俺はこんな仕事の仕方だけど,AEの教科書にはこう書いてあったな」というように,実務と関連付けをした。このことがAEの理解を深めた。

 また,このとき初めて自分の弱点を分析した。その分野については,教科書をひも解き,再度学習した。この試験対策がよかったのか,その年のAE試験は合格した。

DBSの仕事とは何かを理解し,4つの重点項目に絞って学習

 99年,4度目のDBS試験の対策にあたって,私は,AE受験時の経験を生かして,まず「DBSとは何を求められている技術者なのか」を理解することから始めた。そして自分の仕事とDBSに求められている技術者像と結びつけることにした。そこで,自分がDBSとAEを混同していたことを改めて発見した。

 例えば,AEは外部設計の時にデータベースの論理設計をする。これは業務要件を分析した結果をER図などに設計する作業だ。AEの仕事はここまでで,DBSはこの設計を受けて,性能が出るようにこの先の設計をすることになる。私はそのあたりの役割分担をすべて,DBSの仕事だと思っていたのだ。つまり,DBSはAEの指示を受けてデータベース部分の下請けをするくらいの理解だった。

 しかし実際のDBSは,データベースの専門家としてAEの行うデータベースの論理設計に対して助言したり,性能のチューニング,セキュリティ対策,データベースのバックアップ設計を行ったりするなどシステム開発における非常に重要な役割を担う技術者なのである。

 これは情報処理技術者センターのホームページや試験対策本に載っている言葉そのままだ。つまり,私は今まで,情報処理技術者センターのホームページや試験対策本に載っているDBSの仕事をまったく理解しないまま,DBSを受験していたのだ。これでは不合格になるのも当然だ。

 私は次の受験で必ず合格するため,以下の4点を重点的に勉強した。これらは,現在の「テクニカルスペシャリスト(データベース)」の対策としても,絶対はずせないポイントといえよう。

・関数従属(データベース理論の中で最も重要で難しい。正確に理解する必要アリ)
・正規化(第1正規形〜第3正規形は必須)
・SQL(特定のメーカーのSQLが得意なだけではダメ。試験にでるのはSQL92)
・障害対応(ロールバックとロールフォワード。これも特定メーカーの知識だけではダメ)

そして4度目の挑戦,自信はなかったがなんと合格!

 4度目の試験日当日は,過去3回の試験よりも緊張していた。今まで何も考えずに受験したときとは違い,多少なりとも敵を知っただけに,その怖さも分かっていたからだ。

 午前の試験は,まずまずのできだった。そして午後?の試験。ここで,頭が真っ白になってしまった。答えが出てこないのだ。過去3回の試験では,自信満々で自らの考えを解答用紙に埋めていたが,今回はなかなかそうはいかなかった。しかも,1問目だけで試験時間1時間半のうち大半の1時間を使ってしまい,焦ってしまった。そのあと,どれくらい解答できたか,思い出せなかった。

 「終わった。来年もまた再挑戦かもしれないな……」──。不合格だった過去3回の試験の後は自信満々だったのが嘘のように,今回は落ち込んでしまった。

 合格発表日の未明,情報処理技術者センターのホームページにアクセスした。合格,不合格に関わらず,誰よりも早く(会社の人間より早く)結果をこの目で確認したかったからだ。結果は不合格。「ああやっぱり今年もだめだったか……」。しかしよく受験票をみたら,なんと手にしているのは1回目のものではないか。再度,4回目の受験票を手にして番号を探した。「おぉ,合格している」。あまりの嬉しさに,寝ていた妻を起こして「合格したぞ!」と叫んでしまった。妻は寝ぼけ眼で「よかったね」と言い,また眠りについた……。AEに合格したときもそれなりに嬉しかったが,何度も落ちていたDBSの合格は格別だった。

 今,不合格になった3回の試験をふり返ってみると,DBSに必要な知識を問われていたにも関わらず,自らの経験談を解答用紙に書いていたような気がする。おそらく採点者は,私の解答を見ながら苦笑いをしていたのではないだろうか。

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