総務省は、電子自治体を構築するために必要なシステムについて、複数の自治体でシステムを共同で構築し共同で利用した場合、自治体が独自でシステムを構築するよりもどれだけコスト削減の効果が期待できるかの試算結果を公表した。

 試算結果は3日に開催された「第5回 電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」において総務省が公表したもの。総務省の共同アウトソーシング事業で各自治体が開発した電子申請システムや文書管理システムなど11のシステムに関して、人口72万人、40自治体からなる「A県」が共同アウトソーシングの成果物を利用した場合と独自でシステム開発をした場合の開発コストを比較し、どれだけのコスト削減効果が出るかを試算した。

 たとえば、北海道が開発した統合連携システムの場合、A県にある人口12万人、職員1000人規模の自治体(ここでは仮に「B市」とする)がこれを共同利用すると4700万円で構築でき、、独自開発(2億4500万円と試算)と比べて1億9800万円(80%)のコスト削減効果になる。また、同じシステムを人口1万2000人、職員数120人規模の自治体(ここでは仮に「C町」とする)が利用した場合は独自開発2億500万円に対して、共同アウトソーシングを利用した場合1430万円で済み、1億9070万円(93%)の削減効果があるとしている。

 同様の試算を、電子申請(熊本県)、電子申請(東京都。熊本県とは別のシステム)、文書管理(京都府)、電子入札(岐阜県)、財務会計(福岡県、山形県、静岡県、徳島県)、人事給与(岐阜県、佐賀県、岡山県)、庶務事務(京都府、和歌山県)、公有財産管理(函館市、室蘭市、弘前市)、公営住宅管理(水沢市、北上市、花巻市)、統合型GIS(浦安市)の各システムについても公表。例えば、前述の人口・職員規模のB市が、熊本県の開発した電子申請システムを共同利用すると2億7200万円、公営住宅管理システムの場合は2050万円のコスト削減につながるとしている。

 検討会ではこのほか、2004年度に実施された共同アウトソーシングに関する実証実験の結果報告や、共同アウトソーシング推進協議会の設立についての報告、国が地方公共団体に対して行う調査・照会業務のシステム見直し、その際に使われる国と地方の連携データのXMLタグやスキーマの標準化の検討状況の報告などが行われた。

(塗谷隆弘)