■インタビュー
「行政ポータル構築の過程で、行政改革ができる」

岐阜県知事公室情報政策課 課長補佐 河田佳朗氏

岐阜県では、「デジタルガバメント」(インフラ整備、行政ポータルなどのシステム作り、産業育成、IT講習などの人材育成など様々な面での行政のデジタル化やシステムの統合によって新しい価値を創造していく自治体の姿のこと)推進に向けて、行政ポータルの整備に取り組んでいる。(インタビュー:編集部)

■2004年度には、行政ポータルから県民が電子申請を、2005年度には、県民がいつでもどこでも歳入の支払いができるようにし、多言語対応も導入。2006年度以降は、市町村など他の地方公共団体にASP方式で行政ポータルのアプリケーションを提供していく計画だ。岐阜県の行政ポータルの整備に取り組んでいる、岐阜県知事公室情報政策課 課長補佐の河田佳朗氏に話を聞いた。


岐阜県知事公室情報政策課
課長補佐 河田佳朗氏

──行政ポータルが実現すれば窓口業務が減ることになります。その分、職員削減をしてコストカットしようということですか?

河田 単純に職員削減と言うよりも、効率化によって浮いた人員を、適正配分していこうと考えています。増え続ける介護とか高齢者サービス、子供を育てる教育サービスなど、本当に“Face to Face”のサービスを必要としている部分を厚くしていこうというわけです。

 行政ポータル作りというのは、「リアルガバメント」を「バーチャルガバメント」に移していく作業なのですが、その過程で庁内の手続きの見直しや人的資源の再配分など、行政の改革が含まれるわけです。行政ポータルの最終目的というのは、自治体経営の革新です。「ERP」(Enterprise Resource Planning、企業資源管理)という言葉があります。ポータルの目的は、一言で言うと「Government Resource Planning」、すなわち「GRP」を実現するためのツールであると、我々は考えています。

──岐阜県の行政ポータル構築の進ちょく状況は?

河田 今秋には、現在運営しているホームページと並行して、岐阜県のポータルサイトを部分的に公開する予定です。住民に提供できるサービスの例として、一部の手続きを実際に体験してもらうことを計画しています。

 岐阜県ではまず、ポータルが必要とするシステム構想をまとめました。それを元にした行政ポータルのフレーム、骨格作りを今年の7月に公募しました(無償による作成を公募)。公募にはベンダー5社が連合で提案を出してきてくれました。

 フレームと言うのは、岐阜県が考える行政ポータルの基本機能を備えたシステムのことで、例えば、ポータルの管理者がポータルに提供する情報を登録する「コンテンツ登録機能」やユーザーが自分の好きなように画面をカスタマイズできる「パーソナライズ機能」などの機能を備えています。
編集部注:岐阜県では9月9日にポータルサイトのイメージを紹介するためのサイト「ぎふへおんさい!」を公開、利用者からの意見を募っている。
  後はそこにコンテンツを載せれば機能します。今後はこのフレームに基づいて、岐阜県のホームページを随時ポータルへ移し変えていくという作業を2003年4月から始めていく予定です。
──行政ポータルでは、市町村や民間との連携はどのように進むのでしょう。

河田 まずは県のコンテンツをどんどんポータルに移していきます。次に市町村のコンテンツ、行政が連携して提供するコンテンツ、民間が提供するコンテンツ、官民が連携したコンテンツという順番でコンテンツが発展していくだろうと考えています。

まずは行政関連のコンテンツをそろえていき、徐々に民間のコンテンツを入れていくことでポータルのコンテンツを充実させていく計画だ。

──市町村との連携を進める計画は具体的に進んでいるのですか。

河田 県が電子申請の方法を統一化しようと動いています。例えば、A町の様式とB町の様式では申請の様式が違うので、その様式と手順を一緒にしようという取り組みです。手続きを一緒にして、どこかの外部業者(ASP業者)に委託することで、そのサービスをみんなで利用する。それが全県下に広がれば、どこの市町村にいっても同じ様式で手続きができます。


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