■秋田市では、「情報の探しやすさ」を主眼に置き、ホームページのタグの書き方、ナビゲーションなどの細かなルールを作成した。この仕様に沿って、それぞれの課がコンテンツページを作成する。各課にIT化推進のための「電脳中核人」を育成し、ホームページ作成も彼らが中心となる。(文:黒田隆明=編集部)

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 今や、全国の自治体のほとんどがHPを持っている。ただし、情報の量、更新頻度、ページの見やすさなどは自治体によって様々だ。そんな中で、日経BP社『日経パソコン』の「e都市ランキング」では4位に入った秋田市のホームページ(以下HP)は自治体の中では“優等生”の一つといえるだろう。

 秋田市のHPの特徴は、「見やすさ=情報の探しやすさ」にこだわって作られている点にある。「民間のページの場合、年齢・性別などのターゲットに視覚で訴えるページを作らなくてはならないかもしれません。しかし、市役所のサイトは老若男女あらゆる人に見に来てもらわなくてはならないし、細い回線で接続している人のことも考慮する必要があります」秋田市企画調整部情報政策課主査の北嶋英樹氏は、HPのコンセプトについて説明する。「自治体サイトに来るユーザーは、情報にすぐにたどり着けるサイトのほうが便利なはず。見た目の美しさは二の次」という考えが徹底しているHPだ。

秋田市企画調整部 情報政策課主査 北嶋英樹氏

秋田市企画調整部
情報政策課主査 北嶋英樹氏

 秋田市のHPを見れば、観光情報以外に写真やイメージイラストがほとんど使われていないことがわかるだろう。必要な情報を探すのに不必要というわけだ。最近まではトップページにすら写真を置いていなかったほどの徹底ぶりだ。現在のトップページ(2002年4月15日にオープン)には、四季折々の秋田の写真が一点だけ使われているが、これは庁内から「あまりにも素っ気ない」という意見が出たためだという。置いてある画像データもごく軽いものだ。後述する“秋田市ルール”によって、1ページで表示するデータ量は50KB以内と規定されているのである。

現在のトップページ 以前のバージョン
  現在のトップページ(左上)と以前のバージョン(上)。
以前は、画像が一点もなく、さらにシンプルなページだった。


 秋田市ではHPのユーザビリティ向上のために、日頃インターネットにほとんど触れていないような初心者、例えば職員の身内や近所のオバチャンに来庁してもらい、HPから情報を探してもらうというテストも時々行っている。「こうして試してみると、プルダウンメニューをほとんど使わないことなど、初心者ユーザーがどこで戸惑うのかがよく分かる」(北嶋氏)というわけだ。