■最終的には総務事務の4割をアウトソーシング

 集中化とアウトソーシングの目的は、職員の生産性の向上だ。「総務事務の中でルーチン的なものを集中化、外注化することで、総務事務の処理を担当する人員を減らし、県庁職員には新たに企画的な業務に携わってもらうことで生産性を向上させようという狙いの下でスタートしました」と行政改革室の八木氏は説明する。

 静岡県にとって、総務事務の集中化は今回いきなり思いついたプロジェクトではない。行政改革の一環として、1997年から段階を踏んで進めてきたものだ。

 97年当時、静岡県ではそれぞれの課ごとに総務担当が存在した。これをまず、環境部、健康福祉部で部の主管課に統合した。翌年には残りの部についても部単位での集中処理体制を整えた。その後、2000年から2001年にかけて、出先機関(8カ所ある総合庁舎)でも、各出先機関内での総務事務の一本化も完了した。

 こうした流れを経て「部局単位ではなく本庁内で一本化できるだろう」「外部に委託できる業務もあるのではないか」と、さらに発想を進めて生まれたのが、今回の総務事務センターなのである。


■総務事務センター事務手続き
総務事務センターの概要

 アウトソーシングした3人分は別として、総務事務センターへの業務集中によって、総務事務担当の人員をどの程度減らすことができたのだろうか。「なかなか正確な人数は計れません」と八木氏は言う。理由は、「それぞれの部局の主管室の担当者は、今回センターで集中化した業務だけを行っていたわけではないので、『何人、減った』という数字は出しにくいのです」というわけだ。

 ただし最終的な目標としては、「現在、総務事務に携わっている職員は本庁全体で40人前後ですが、これを20数人にまで減らしたい。そのうち4割程度は外注化できればと考えています」(八木氏)という計画となっている。

 アウトソーシングについては、人件費を単純に比較すれば「職員の5割程度ではないか」と八木氏は言う。もちろん、民間企業のように外注した分の人員をそのままリストラするわけではない。それでも、行政改革の一環として静岡県が進めている人員削減計画(5年間で500人)が予定通り進んでいることや、ルーチンワークからの解放で見込める職員の生産性向上など、トータルで見ての効果は十分上がっていると静岡県では考えている。