7月13日、総務省は自治体間でシステム共同利用を促進するため「共同アウトソーシング推進協議会」を設置し、第1回会合を開催した。参加メンバーは北海道、北海道帯広市、山梨県、山梨県甲府市、岐阜県、岐阜県岐阜市、京都府、京都府宇治市、宮崎県、宮崎県宮崎市の10自治体。

 共同アウトソーシングとは総務省が進めている事業の名称。総務省予算でベンダーの業務パッケージ・ソフトをベースに共同利用に適した形にソフトを作成し、希望する自治体に無償提供するというもの。財政がひっ迫している市町村のITコストを、システム共同利用という手法で削減するのが狙いだ。

 総務省が共同アウトソーシング事業を始めたのは2003年度。3年目に入る今年になって、熊本県が構築した電子申請アプリケーションを宮城県が利用するなど、具体的な利用事例が現れてきた。一方、こうした利用事例がでてきたことで、導入自治体ごとのカスタマイズ部分をいかに管理していくかという保守問題が浮上した。

 「各自治体で別々に保守作業を実施するようでは、共同化によるコスト削減効果も一過性のものに終わってしまう」(総務省自治行政局自治政策課の牧慎太郎情報政策企画官)。カスタマイズ部分の著作権は総務省ではなく各自治体が保有しているため、無償配布対象にならないという問題もある。アプリケーションの保守以外にも、共同アウトソーシングにはいくるかの課題がある。例えば、共同化したシステムの費用負担の配分をどうすれば参加自治体のスムーズな了解が得られるかといったことだ。

■共同アウトソーシング推進協議会の概要
<共同アウトソーシング推進協議会>
電子自治体協議会の代表団体(都道府県:1名、市町村:1名)で構成
【役割】
情報交換・共有・流通、部会協議の共通課題の抽出・評価
【メンバー】
北海道、北海道帯広市、山梨県、甲府市、岐阜県、岐阜市、京都府、宇治市(京都府)、宮崎県、宮崎市
<企画運営部会>
電子自治体協議会の代表団体・共同利用管理会社等で構成
【役割】
共同利用の共通課題等検討
【メンバー】
静岡県、静岡市、岡山県、岡山県倉敷市、高知県、高知県野市町、管理会社、IDC(電力会社、ネットワークキャリア等)
<システム部会>
電子自治体協議会の代表団体・パッケージベンダー等で構成
【役割】
システムの活用方法等検討
【メンバー】
宮城県、仙台市(宮城県)、富山県、富山市、徳島県、徳島県鳴門市、パッケージ提供ベンダー、地域IT関連企業
<事務局>
(財)地方自治情報センター
(事務局支援 シンクタンク、コンサルタント)

 協議会では下部組織として、これらの課題を具体的に議論する部会を二つ設置した(企画運営部会とシステム部会)。企画運営部会は、共同アウトソーシングセンターの運営や利用料金の負担方式、システム調達方式などの課題を主に検討する。システム部会では、導入における技術的課題、業務・システムの団体共通部分と固有部分の整理などシステムの活用フェーズの課題を検討する。両部会には自治体のほか、アプリケーション構築を担当したベンダーやIDC事業者などが参加する。

(広岡延隆=日経BPガバメントテクノロジー)