VI.監査報告書の作成
検出事項及び改善提言等を取りまとめた後、監査報告書を作成し、監査依頼者に提出することになります。草案を監査対象組織と監査人との間で確認し、内容に異論がなければ正式な報告書となります。また、この章では、監査報告書記載上の留意点も記載しています。
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次に、この章における重要なポイントについて解説していきます。
・保証の付与と紛らわしい表現の禁止
助言型監査の監査報告書においては、保証の付与と紛らわしい表現を用いてはなりません。保証の付与と紛らわしい表現の例としては、次のような表現があります。
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・検出事項の記載上の留意点
監査報告書に記載する検出事項は、文書及び記録等に基づく客観的な証拠によるものでなければなりません。また、監査報告書に検出事項の重要性等の監査人の判断を参考情報として記載する場合は以下のことを監査報告書に記載することになります。
- 重要性等の判断は監査人の参考情報である旨
- 監査人が重要性等を保証するものではない旨
検出事項について、監査責任者と被監査対象組織の責任者の間で見解の相違があり、それが解消されていない場合は、監査報告書に監査人の意見と監査対象組織の責任者の意見の両論を併記することになります。
・改善提言の記載上の留意点
改善提言は、監査人が監査を実施したことにより発見された事実のみに基づく、監査人の参考意見であるため、改善提言の記載に当たっては、監査依頼者、監査対象組織の責任者に対して、その実施を強要するような表現にならないように配慮しなければなりません。例えば、改善勧告と称し、「~については、~のように改善しなければならない。」という表現は、監査依頼者、監査対象組織の責任者に改善を強要しているかのような誤解を招くため、使用すべきではありません。
以上、JASAの技術部会で作成した、助言型監査ガイドについての説明をしました。今回説明できなかったことも多く記載されています。ぜひ一度目を通していただきたいと思います(現在は正式版以前のバージョンである「助言型監査マニュアル」
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