●次世代の電子自治体に関する提案の最終回が本稿である。電子自治体の本格的な稼働を前に、既に自治体間の競争が始まっている。望む望まないに関わらず、自治体の住民は電子自治体を比較し、近隣であれば転居も厭わない状況が出現し始めている。その先にはさらなる越境もあり得るだろう。競争を意識する時代の到来は、思った以上に早そうだ。 |
「e-Gov.ラボ」(イーガバメント・ドット・ラボ)では、これまでに次世代の電子自治体のあり方を提言してきた。今年6月に連載を開始した今回の活動では、3カ月間にわたって計12本の論文の発表を目標とした。ほぼ毎週の活動にお付き合いいただいた読者の皆様には、新たなコラボレーションの「場」をいただけたことをあらためて感謝申し上げる次第である。 既に、いくつかの熱心な自治体からは、メールにて質問を受け、実際に多くの方々との議論の場を講演・セミナーという形で実現させていただいた。いくつかの電子自治体関連団体(例えば北海道電子自治体実証プロジェクト協議会など)との間には、意見交換から新たな企画が生まれつつあり、競争優位に向けたコミュニティ特性のあり方を検討する“仕組み”が設けられつつある。 さて、連載の最終回では、ケーススタディとして既に提示した4つの電子自治体の「型(パターン)」の参考事例となるようなケースをいくつか抽出し、そのポイントや課題を提示する。これはほんの一例であり、より直接的な事例については形が整い次第、公表していく予定だ。筆者の日々の活動を記述している「e戦略の視点2」にて確認していただけると幸いである。 |
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筆者紹介 林志行(りん・しこう) 日本総合研究所研究事業本部・主任研究員。日興證券投資工学研究所を経て1990年より現職。企業のウェブ事情、インターネットを利用したマーケティング戦略に詳しい経営戦略コンサルタント。近著に『中国・アジアビジネス WTO後の企業戦略』(毎日新聞社)、『インターネット企業戦略』(東洋経済新報社)など。個人ホームページ「Lin's Bar」に過去の連載などを掲載。 |