■SNSを開始後アクセス急増、登録者数も1.5倍に
八代市行政管理部行政システム課 電算システム係 小林隆生氏 |
八代市役所 企画財政部 企画調整課 広報広聴室主任 友田善之氏 |
SNSを導入したことで、「ごろっとやっちろ」への参加者は目に見えて増えている。導入前には600人ほどで停滞していた登録会員数が約900人にまで増えた。八代市民でなくても登録できるが、9割は八代市民だという。八代市の人口比でいうと0.9%。電子コミュニティとしてはかなり高い参加率といえる。
アクセス数も大きく伸びた。月刊平均で1万程度だったページビューが、SNS機能が各種メディアに大きく取り上げられた2004年12月は3万6928を記録した。その後は漸減しているものの、2005年2月にもページビューは2万3381を記録している。書き込み件数は1日60~70件程度(注1)。これも、自治体の電子コミュニティとしては、かなり活発な部類といえるだろう。
(注1)掲示板、サークルへの書き込み、日記、会員同士のメッセージのやりとりなどすべて含む
■まずは市民同士の交流を支援する
八代市のSNS導入の狙いは、よく自治体の電子コミュニティ設置の目的として語られる「市と市民との対話」や「自発的な市政参画を促すツール」といった大上段に構えたものではなさそうだ。もちろん、「ごろっとやっちろ」で市民同士が交流するなかで、役所に対する意見を自発的に交換して、それを市に投げかけてくれるようなことがあれば理想的だが、そこまでの成果を拙速に求めているというわけではない。
小林氏は言う。「掲示板だけを設置しても、声が大きい(強い主張を持った)人が強くなってしまいがちです。またモデレーターがいないと議論が進行しないという問題もあります。掲示板では会話の流れを読まないと発言しにくいし、すべての人が議論に慣れているわけではありません。まずは市民同士で自由に交流できる場をネット上に作りたかったのです」。
つまり、「市民同士のコミュニケーション」を図るためのツールとしてSNSを位置付けているのである。「イベントの告知や、サークルの発表など、自由にどんどん使ってもらえればと思っています」(小林氏)。
それでは、ROI(投資対効果)という点ではどうか。実は、「ごろっとやっちろ」には目に見えるコストがほとんどかかっていない。システムの開発は、小林氏が一人で行っている。
小林氏は市のネットワークシステムの管理などを担当しており、業務の合間をぬって「ごろっとやっちろ」の開発を手掛けたという。また、サーバーは八代市の公式Webサイトで利用しているものを間借りしている。OSはFreeBSD、データベースにはPostgreSQL、サイト構築にはPHPなどオープンソースのソフトウエアをフル活用している。