東京都世田谷区は、住民記録、税、国保、年金、宛名・口座の基幹5業務についてパッケージ・ソフトを導入する方針を決定、20日にもベンダー向け説明会を実施する。遅くとも7月までにはそれぞれの導入パッケージを決めたい意向だ。世田谷区では2006年度中に基幹システムをオープン化、2007年度には現在基幹システムを動かしている汎用機を完全に撤廃する計画だ。

 世田谷区では、パッケージ選択と並行して今夏からは共通基盤システムの開発に着する。この基盤とそれぞれのパッケージをつなぐ構想だ。このため、いわゆる「統合パッケージ」ではなく個別業務ごとに最適なパッケージを選択する方針だ。また「他の自治体で実績があるなど、実質的にパッケージソフト的に提供できるソフトなら、パッケージ・ソフトとして販売しているものでなくても導入候補として検討する」(世田谷区地域情報政策担当部情報政策課の石原聡明総括係長)という。共通基盤システムについては別途開発事業者を募集する。

 基幹システムのオープン化に際して世田谷区では、システム・インテグレータとソフトウエア・ベンダーを完全に分離する方式を採っている。SI事業者については昨年11月、NTTデータとNTT東日本のグループと約1億3000万円(2005年度)で単年度契約を結んだ(言うまでもなく、NTTデータ/NTT東日本および両社の子会社は今回のパッケージソフトの受注はできない)。

 世田谷区には既に両社の社員7人が区に常駐しており、区の立場で主に技術面から電子自治体構築をサポートする。世田谷区の石原統括係長は「世田谷区の基盤の上で各業務パッケージを動かしていく場合、マルチベンダー化が予想される。そうなった場合、区職員だけでシステム体系全体のマネジメントを行うのは難しい。また、SI事業者を分離することでソフトウエア・ベンダー間で競争する環境も整う」と、SI事業者とソフトベンダーを分離した狙いを説明する。

関連ニュース「世田谷区、基幹システムをオープン化へ」(2004年7月23日)

(黒田隆明)