総務省が主催する「地域における情報化の推進に関する検討会」が2005年3月18日に、最終報告書『ユビキタスネット社会を実現する地域情報化戦略』をまとめた。(1)「公共ネットワーク」と(2)「公共ネットワークを活用した公共アプリケーションの展開」、(3)「地域情報化推進体制等の整備」の3分野に関する、2015年までの取り組みの方向性を定めた。

 (1)「公共ネットワーク」では、e-Japan重点計画などで2005年度までと決めていた、都道府県の情報ハイウェイや市町村の地域公共ネットワークの整備目標を、2010年度まで延長し補助金などの支援継続も行うべきだとしている。整備が遅れていることを考慮した内容だ。さらに、各地の情報ハイウェイや地域公共ネットワークなどを接続する「全国公共ネットワーク」の構築や、公共ネットワークとCATV/無線通信との連携も2015年までを目標としている。

 (2)「公共ネットワークを活用した公共アプリケーションの展開」では、異なるシステム間の高度な連携を可能にする基盤システムの開発・導入や、レガシー・システムのオープン・システムへの移行を進めることと並行して、防災(2005年度開発予定)や医療(2006年度開発予定)、教育(2007年度開発予定)の分野の新規システムを開発していく。さらに、これらのシステムを共同運用し、ネットワークを介し複数の自治体や公共機関、住民らが利用できるようにする。

 (3)「地域情報化推進体制等の整備」では、自治体のCIO(最高情報責任者)の育成を主眼に置いている。まずは、大規模自治体(都道府県と30万人以上の市)を対象に、2005年度から毎年20~30人にCIO研修を行う。以降、さらに人口10万人以上の自治体にも対象を広げ研修を開始し、2015年度には10万人以上の自治体にはCIO研修の修了者一人を必ず配置するようにする。

 総務省は「地域における情報化の推進に関する検討会」を2003年12月から開催してきた。同検討会の座長は、東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏。徳島県知事の飯泉嘉門氏や東京都三鷹市長の清原慶子氏、京都府園部町長の野中一二三氏といった自治体関係者も委員として参加していた。野中氏は会合の最後に「報告書にまとめただけで終わるのではなく、実際に実行してもらいたい」と、出席していた関係省庁の担当者に強く要望していた。

(鈴木 淳史=日経BPガバメントテクノロジー)