総務省は、今年度も含め今後3年間で、Webサービスによる電子自治体システムの連携、GISや監視カメラなどを用いた防災システムの地域を超えた共同構築・運用、地方自治体におけるCIOの育成プログラムの策定などを推進する。2004年度中にこれら事業をデータ分析など基礎的作業を進め、2005年度に本格的な構築のための予算を要求する方針を固めた。同省が開催した「地域における情報化の推進に関する検討会」(座長:齊藤忠夫 東京大学名誉教授)が4月27日に公表した中間報告を受けてのもの。

 Webサービスとは、Web技術を用いてコンピュータ同士のアプリケーションを連携させる技術の一つ。総務省では、電子申請や財務会計など地方自治体の各種データをシステム間でやり取りできるようにするWebサービスによるシステム連携基盤の構築、連携基盤上で各種手続きのワンストップサービス実現を目指す。

 また、地域独自で開発するアプリケーションと共同構築・運用することが望ましいアプリケーションを整理。共同構築・開発が望ましいものの一つとして、まずは防災システムの構築に取り組む。災害・有事が起こった場合、その地域の情報を支援する地域において素早く確認する必要があるためだ。

 こうした地域の情報化を進めるための人材が地方自治体内部で不足していることから、自治体CIO育成のためのスキルマップやプログラム作成を進める。米国のスキルマップなどを参考に、今年度中に原案を作成、2005年度にはまずは1週間程度の短期間の研修コースを開設する計画だ。

 「地域における情報化の推進に関する検討会」とは、2005年度までに地域公共ネットワークの全国整備を図るなどの目標を掲げた「全国ブロードバンド構想」(2001年6月)などの成果を踏まえ、市町村、都道府県、国等を結ぶ公共ネットワークの在り方等を整理し、2005年度以降の施策展開について検討を行うための委員会。2004年度末までに最終とりまとめを行う。

(黒田隆明)