山梨県竜王町、敷島町、双葉町が合併して9月1日に誕生する甲斐(かい)市(合併後の人口は約7万2000人、面積は71.94平方キロメートル)で、内線電話網にIP電話を採用、市役所のほか図書館、福祉センター、小・中学校など56施設にIP電話機500台を導入する。一部施設では無線IP電話機も導入する。

 新しく誕生する甲斐市では現・竜王町、敷島町、双葉町のそれぞれ町役場の庁舎に業務機能を分散する。このため3庁舎間で多くの内線電話のやり取りの発生が予想される。また、それぞれの町の電話設備が老朽化していたこともあり、竜王町・敷島町・双葉町合併協議会では、通信基盤を統合してIP電話を導入することでコスト削減を図れるとしている。

 そのほか、合併する3町のうち双葉町だけ市外局番が異なる(双葉町は0551、他の2町は055)ことから、双葉町地域の住民が新しく誕生する甲斐市の代表番号に電話を掛ける際、何も手を打たないと電話料金負担が他の地域の住民より高額になってしまうという問題もあった。この事態を避けるため、双葉町地域の市外局番での代表番号を設ける。ここから他の地域の庁舎の部署にIP電話の内線転送することにより、電話料金の不公平を防ぐことができる。

 IP電話のネットワークは、3町の公共施設をつないでいる地域イントラネットの光ファイバーを活用するため新規投資の必要はない。初期投資としては、電話機、施設内の工事などで約3000万円。呼制御プロトコルにSIP(Session Initiation Protocol)を使い、庁舎に置いたサーバー三台で管理する。竜王町・敷島町・双葉町合併協議会会長で竜王町長の藤巻義麿氏は「初期投資が必要なことがネックとなったが、光ケーブルが既に敷設されていたこと、ランニングコスト面や将来性を考えて採用した」とコメントしている。

(黒田隆明)