山梨県内の全41市町村は、年内にも「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例」(行政手続オンライン化条例)を一斉に制定し、全市町村で共同運用している「やまなし申請・予約ポータルサイト」の電子申請サービスをさらに拡充する。各市町村で開催されている12月議会で行政手続オンライン化条例の議案が提出される予定であり、可決されればこの条例により可能となる7手続の電子申請サービスを追加する。2005年1月27日には「児童手当等の現況届」「重度心身障害者医療費助成の更新申請」などが加わり、市町村への手続は計16に増える見通しだ。

 行政手続オンライン化条例は、2003年2月に施行された法律「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(行政手続オンライン化法)の条例版である。従来「書面を用いて行う」と定められていた、処分の通知や書類の縦覧(閲覧)、書類の作成・保存などが、電子的な書類データを用いて実施できるようにするためのもの。オンライン化条例の制定は各自治体の判断にゆだねられており、山梨県内の市町村ではオンライン化条例を整備できていなかった注) 。

 オンライン化条例の一斉制定に当たっては、山梨県の全市町村が参加する山梨県市町村総合事務組合が、条例のひな型や解説、施行規則などを用意した。ひな型作成などの実作業は、総合事務組合の「電子自治体の推進に関する研究会 法務支援ワーキンググループ」が担当した。今回、オンライン化条例を一斉制定できれば、自治体システムの共同運用による効率化の推進をさらに方向付けられるとして、総合事務組合は期待している。

 2004年4月21日から、山梨県と県内の全市町村が共同運用する形で、電子申請サービス「やまなし申請・予約ポータルサイト」がスタート。全市町村が参加する自治体共同システムとして注目された。当初、市町村への手続としては5つの電子申請サービスで開始し、昨日12月1日にはさらに4つの手続を追加、現在9手続となっている。

注) オンライン化条例は、すべての条例や規則等に対し包括的に電子的な書類データの利用を可能にするため、制定までにある程度の準備期間を要する。山梨県内の市町村では必要に応じ「印鑑登録条例」など個別の条例を改正して電子申請サービスを提供してきたが、オンライン化条例を全面的に整備できていなかった。また市町村に加え、山梨県もこの12月議会でのオンライン化条例の制定を目指している。

(鈴木淳史=日経BPガバメントテクノロジー)