■香川県は2002年4月、県のWebサイトにオープンソース・ソフトウエアで構成した「CMS(コンテンツ管理システム)」を導入し、データベースによるコンテンツの管理を開始した。2003年8月に回線速度を1.5Mbpsから3Mbpsに増強、新しいサーバーとしてLinux機を導入した。各部署のページ制作担当者の省力化や情報量の増加、情報提供までのスピードアップを実現した。(文:安藏靖志=企画サイト編集部)


 「香川県では、1996年にWebサイトを開設しました。スタート当初のコンテンツは、香川県の紹介や観光地案内など“パンフレット的”なコンテンツが中心でした」と、現在Webサイトの管理を担当する香川県政策部広聴広報課 広報グループ IT広報担当 増田敬一氏は振り返る。

香川県トップページ
香川県のWebサイト
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リニューアル以前の香川県のWebサイト

 しかし、インターネットが社会基盤として認知されるようになり、自治体サイトに求められている情報ニーズは年々増大している。行政関連ニュースやイベント情報、生活に密着した各種情報など、様々な情報の提供が求められている。

■担当者の手作りによるWebページ制作に限界

 自治体側にとっては、「増える一方の情報をいかに整理・更新し、Webサイトを管理運営するのか」という悩みを抱えることになった。この悩みを解決するソリューションとして注目されているのが、「CMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)」だ。

  増田敬一氏
  香川県政策部広聴広報課
広報グループ IT広報担当
増田敬一氏

 CMSとはWebページのタイトルや本文、抄録、画像などの部品をデータベースを利用して管理するシステムのこと。画像やリンクなどを埋め込んだHTMLファイルを“手作り”するのに比べて、コンテンツの制作や修正、管理に関する手間を大幅に減らすことが可能になる。

 香川県は2002年4月、オープンソース・ソフトウエアを利用したCMSを導入し、省力化と情報提供までのスピードアップに成功した。増田氏は「それまで手作業でページを更新していたのが、CMSの導入によってWebブラウザーで簡単にできるようになりました。週に数件程度の更新頻度でしたが、1日10件以上になり、情報数は格段に上がりました」と語る。

 香川県では、Webサイト全体の管理は広聴広報課が担当していたが、情報の提供は各部署にいるサイト担当者の仕事だ。CMS導入以前は、サイト上に掲載する情報の選定からHTMLファイルの作成まで、すべて各部署の担当者が行っていたのだ。

 「各部署の担当者によってWebページの作成に関するスキルも様々です。もちろん本来業務が忙しいということで、Webページを作る余裕のない部署もあります。そのため、次々と情報を提供できる部署と、情報提供したくてもできない部署とに分かれてしまいました」(増田氏)。