「マイクロソフトのEAに対する取組み」
マイクロソフト 公共ソリューション本部 本部長
近藤禎夫 氏

公共ソリューション本部 シニアテクノロジースペシャリスト
鈴木章太郎 氏

近藤禎夫 氏 鈴木章太郎 氏
近藤禎夫氏 鈴木章太郎氏
 近藤氏は冒頭で、今後のEAによる情報システム運用は、ある自治体単独でなく、大きな枠組みでの継続的改善が必要として、共同アウトソーシングも考慮するべきという考えを示した。続けて、鈴木章太郎氏が米国州政府および郡政府でのEA取り組み状況を報告した。

 鈴木氏がまず取り上げたのは米国連邦政府のEAのガイドライン「FEA」(Federal Enterprise Architecture)について。FEAは、連邦政府全体の業務改善に向けたフレームワークであり、巨大組織で統一ルールを実行するための、大きなガイドラインになっていることを説明した。


 
出典:マイクロソフト
  しかし米国の州政府や郡政府レベルでは、FEAをそのままの形で構築・運用しているわけではない。FEAは、連邦政府という巨大組織を対象としているため、不向きな部分もあるのだという。EAをより実践的な方法で達成するために、州や郡の政府は、連邦政府の導入したFEAに配慮しつつ、ITIL(ITインフラ ストラクチャ ライブラリ)によるボトムアップ式実践の事例が多いことを報告した。

 ITILとは、情報システムを運用管理する手法のベストプラクティス集であり、いわばEAの一部を実行するための参考書的な役割であると位置づけた。EAが「一定の方向付けを行うガイドライン」であるのに対し、ITILは「より実践的なガイダンスを提供している」という、両者の違いを解説した。

 鈴木氏はさらに、ITILは消費者/ユーザー(=住民)を意識した「サービス・サポート」と、サービスの対価を支払う意志決定者(例えばCIO)を意識した「サービス・デリバリー」という2つの管理領域からなると説明。オクラホマ市、ミネソタ州ラムゼー郡など、4つの事例を紹介し、「小さく始めて大きく育てる」「できることから始める」といった方法が有効であると指摘した。

 
出典:マイクロソフト

 鈴木氏は、ITILの問題点も示した。ITILは、あくまでITの実運用に即した人/技術/プロセスのノウハウ集であり、個別案件で即利用できる管理プロセスの実現手段/手法ではなく、具体的なビジネスケースの適用方法も示されていない、と指摘した。

 最後に近藤氏が、マイクロソフトでは、より具体的にITILを実運用・適用するためのコンサルティング・サービスMicrosoft Operations Framework(MOF)を提供していることを紹介した。