行政改革におけるエンタープライズ・アーキテクチャの役割
ジェリー・ワシントン氏
ジェリー・ワシントン氏 |
そしてワシントン氏は、電子政府の目標を「セルフサービスのデジタルガバメント」に置くべきだとした。
「市民はどんな都市の金融機関でも現金を引き出せるし、既にアマゾン・ドット・コム、e-bayを使った時の手続きに慣れている。それに対して我々は市民を我々のオフィスに、我々がいる時間帯に来させ、20年~30年前にできた我々の業務プロセスを使って何度も紙を提出させる」(ワシントン氏)。つまり、民間並のサービス水準を目指すべきだというわけだ。
「なぜ変えられないのか。条例、法律、政策があって変えられないという答えがしばしば返ってくる。では、その法律名を具体的に挙げてくれというと、たいがいはそんなものはない。作り話だ」ワシントン氏は州政府のサービスと職員の保守性を批判、テクノロジーを使ってサービスを改善していかなくては、市民(含む企業)に見放され、思っている以上に大きな経済的損失を被るだろうと主張した。
とはいえ、米国でも自治体の財政事情は厳しく、限られたIT予算のほとんどは固定費(インフラの固定費とレガシーシステム環境の運営費)が占めており、利便性の高い州政府サービスを市民に提供するための新規投資の予算をねん出するのは難しい。固定費を削減するには、データセンター、ヘルプデスクなどを活用しての集中化や標準化、業務プロセスの統合、重複システムの排除などが必要となる。
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ワシントン氏は「EAはプロジェクトではなく、むしろプログラムだ。業務プロセスは毎年変わっていき、テクノロジーもどんどん陳腐化していく。EAは、適応性があり持続力のあるプロセスでなくてはならない」として講演を結んだ。