■ベンダーの見積もりも高いが、県の側にもムダは多い

井坂明氏

──最高情報統括監という役職は、いわゆる「部長級」という位置付けでよいのでしょうか。

井坂 古川(康)知事との面談でも言われたのですが「部長級ということにするけれど、実質は三役級」ということになっています。部屋も知事と副知事の隣にいただいてますし、三役以上の会議にも出させていただいています。

──知事からのミッションは?

井坂 知事からは、情報システムだけでなく業務プロセスの見直しを含めての業務改革を推進してほしいと言われています。あとは電子県庁の推進とIT資産の管理です。

──就任から3カ月、CIOとしてまずはどのような仕事をしましたか。

井坂 まず、各部局と出先機関23カ所の所長の方々へのごあいさつと、業務内容の概略をお聞きするということを兼ねて、それぞれの事務所にお伺いしました。

 それから、知事からの要請でシステム関係の予算要求に対する、その内容の妥当性について査定をさせていただきました。財政課は、私の承認がないと予算を通さないということになっています。

──システムの査定をしてみて、どうでしたか。

井坂 当初の予算要求に対する金額ベースで言うと、8億9千万円、その前の段階で差し戻した分を含めれば“CIO査定”で10億円近くは削減できていると思います。

──10億というのはかなりの数字ですね。どうしてそんなことが起こるんですか。

井坂 査定の資料で、ベンダーさんからもらった見積もりが来るんですが、「××システム一式、何千万円」だけで明細がないんですよ。「その何千万の内訳は?」と聞くと「いや、いただいてません」という答えなんです。やっぱりそれはおかしいので、明細の提出をお願いして、それを見ていったわけです。

──これまではベンダーに余分に持って行かれていた、と。

井坂 必ずしもそういうことばかりではありません。県の側にも無駄な部分がかなりありました。「本当にそのシステムが必要なのか」という見直しもしています。

 2つの課がそれぞれ別々にデータベースを作りたいと言ってくるのですが、「共通化できる部分を一緒にしたら、それぞれ何千万円かずつの予算を出してきているものが、それぞれ減らせますよね」といったことで、予算を再提出してもらったりしました。

 ほかにも例えば、ある施設で使うパソコンを入れ替えたいといった話があって、その施設の稼働率がよくないのは「やっぱり設備が古いからだ」と担当課の方はいうわけです。私は決して設備が古いとか新しいの問題じゃなくて、やっぱりサービスそのものを見直した方がいいんじゃないかと思いましたので、その予算は認めませんでした。

──各部局としては、井坂さんに対して「コストカッターがやって来た」という目で見ているでしょうね。

井坂 誤解を受けやすいんですが、削減しただけじゃなくて、増やしたものもあるんです。スタンドアロンのシステムで出てきた予算要求に対して、県で進めている電子県庁と連携が取れるように予算を増額して作り直してもらったりもしています。やっぱり必要なものは必要ですから。