利用者への配慮が足りない 中央省庁のWebサイト
主要省庁17サイトのアクセシビリティをJISの基準で点検
■『日経パソコン』は、国の主要17省庁のWebサイトを対象に、「JIS X 8341-3」を基にしてアクセシビリティを調査した。調査結果を基に、アクセシビリティ対策の実施状況ランキングを算出した(「JIS X 8341-3」を踏まえて『日経パソコン』が独自に作成した項目により100点満点で評価)。トップとなったのは社会保険庁(78点)、2位は文部科学省(69点)だった。また、上位のサイトでもアクセシビリティに関する課題は多いことが分かった。
さまざまな情報やサービスを提供する公的機関のWebサイトが増加している。こうしたWebサイトは、あらゆる利用者が情報やサービスを利用できるように「アクセシビリティ」(アクセスの容易さ)を確保することが必要だ。
経済産業省は2004年6月、JIS(日本工業規格)にWebページのアクセシビリティ対策の基準「JIS X 8341-3」を追加した。これによって、具体的なアクセシビリティ対策の基準が明確になるとともに、公的機関のWebサイトはこの基準に対する法律上の「尊重義務」が生じた。
『日経パソコン』は、JIS X 8341-3の基準を用いて、国のWebサイトのアクセシビリティを調査した。調査の結果、JIS制定から約半年が経過したにもかかわらず、アクセシビリティ対策が進んでいないWebサイトの現状が明らかになった。
■中央省庁の主要17サイトのアクセシビリティ対応度ランキング
順位
省庁名
総合得点
基本構造
操作性
視覚障害者などへの配慮
理解しやすさ
1
社会保険庁
78
23
19
15
21
2
文部科学省
69
20
16
15
18
3
警察庁
60
5
21
9
25
4
環境省
56
17
15
9
15
4
宮内庁
56
9
14
14
19
4
首相官邸
56
14
10
10
22
7
防衛庁
53
8
14
12
19
8
外務省
51
11
19
9
12
9
厚生労働省
43
11
7
13
12
10
法務省
42
8
12
10
12
11
経済産業省
41
8
15
4
14
12
財務省
40
8
7
9
16
12
農林水産省
40
8
10
11
11
14
金融庁
38
8
11
15
4
14
総務省
38
6
9
8
15
16
国土交通省
32
8
9
9
6
17
気象庁
31
8
8
5
10
<総合得点(100点満点)の配点>・基本構造(内容を把握しやすい基本構造になっているかを30点満点で評価)
・操作性(リンクや入力欄などの操作性が良好かを25点満点で評価)
・視覚障害者などへの配慮(視覚障害者などの利用に配慮しているかを20点満点で評価)
・理解しやすさ(誰にでも理解しやすい言葉やデザインを使っているかを25点満点で評価)
調査対象は中央省庁の17のWebサイト。調査結果を基に、対策実施状況のランキングを算出した。ランキングのトップとなったのは社会保険庁、2位は文部科学省。最下位は気象庁だった。総じてJISへの配慮が不足しており、上位の社会保険庁、文部科学省でさえ問題点が随所に見つかった。
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