目標見えたゴマ粒チップ(最終回-3)Wal-Mart社の発表で目の色変わるこの問題へのユーザー企業の対処法は,無線タグを取り付ける対象をひとまず制限することだ。個品単位での無線タグの導入を先送りにし,まずはケース単位,パレット単位の導入を急ぐ。米Gillette Co.とWal-Mart社は,2003年半ばから共同で行うはずだった個品単位の無線タグの実験を2003年6月になって急遽中止した。Wal-Mart社がプライバシー侵害の問題に配慮したからだとされる 注2)。 一方,無線タグ関連メーカーは,無線タグ機能を無効にするスイッチを搭載して消費者団体の理解を得ようと考えているようだ。無線タグの機能を商品購入時など必要に応じて無効にする「Killスイッチ」を組み込むメーカーが多い。Alien社やTI社は,それぞれの製品に既にKillスイッチ機能を搭載しているという。Auto-ID Center(現EPCglobal)仕様でも,スイッチの搭載を仕様に盛り込む見込み。このほかシステム側でも,情報の流出を防ぐ強固な対応が必要となろう。 プライバシー侵害の問題は一度こじれると技術自体の印象を悪くし,実用化を阻害しかねない。かつて米Intel Corp.は,同社のマイクロプロセサに個別のIDを導入しようとしたが,消費者団体の反対に遭い,断念した。消費者のプライバシーを損なうという漠然としたイメージを最後まで払拭できなかった。無線タグ・メーカーはこの轍(てつ)を踏まぬよう慎重に構えている。業界団体の米AIM,Inc.でプライバシー委員会の議長を務めるTI社のAllen氏は「ユーザーの行動をやみくもに監視するものではないと理解してもらうための啓蒙活動が大切だ」として,個品単位の無線タグの導入を急がない考えだ。 多くの無線タグ関係者は,個品単位で無線タグを取り付けると魅力的なサービスができるのではないかと考えている。この可能性を生かすには,プライバシーの問題に今から取り組む必要がある。 (菊池 隆裕=シリコンバレー支局,高橋 史忠)
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本記事は日経エレクトロニクス2003年8月4日号のLeading Trendsを基に,RFIDテクノロジが再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです。 |