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2004/03/09

2006年に5米セント

 ここにきて,海外メーカーを中心に,斬新な方式で生産を始めた例が登場している。例えば,格安無線タグで注目を集めるAlien社。同社は製造方式の革新によって「2006年には5米セントの無線タグを実現できるとみている」(同社の日本代理店である東レインターナショナル)。既に米国カリフォルニア州にある本社内の敷地に1つの製造ラインを設置し,製造を始めた。製造ラインは,東レエンジニアリングが開発した。

図3 発想の転換がコスト低下につながる
図3 発想の転換がコスト低下につながる
格安無線タグで注目を集める米Alien Technology Corp.が自社内の工場に設置した製造ラインの例。ロール状のフィルムを別のロールに巻き取りながら加工する「ロール・ツー・ロール」方式で無線タグを製造する。無線通信ICの一つひとつをフィルムに実装する従来のフリップチップ方式とは異なり,同社独自の「Fluidic Self Assembly(FSA)」と呼ぶ技術で無線通信ICをはめ込み,保護フィルムでラミネート加工する。158mm幅のフィルムを使う場合,ここまでの作業のスループットは,1秒間に無線タグ約42個分と極めて速い。そのあと,無線通信ICの端子上にあるフィルムにレーザで穴を開け,アンテナ接続用の電極(Hgペースト)を刷る。電極とアンテナは,間にテープ状の異方性導電樹脂製のフィルムを挟んで圧着する。
※図をクリックすると拡大図をご覧になれます。

 Alien社の製造ラインは,現状で1秒間に約42個の無線通信ICをフィルム基板に取り付けられることが特徴だ。現在,無線タグで一般的なフリップチップ実装方式では「速い装置でも1秒間に2個が限界」(無線タグ・メーカーの技術者)という。

 Alien社が高速な取り付けを実現したのは,同社の独自技術「Fluidic Self Assembly(FSA)」によるところが大きい(図3[拡大表示])。従来のフリップチップ実装方式では,一つひとつのチップをつまみ上げてフィルム基板に実装する。このため,無線通信ICのチップ寸法が小さくなるほど,取り付けの難易度が増す。これに対して,FSA技術では,チップには一切触れずに大量の無線通信ICを同時並行でフィルム基板に取り付ける。チップをつまみ上げる手間が省ける上,チップが小型になっても処理速度は変わらないという。同社はこの作業を,ロール状のフィルムを別のロールに巻き取りながら加工する「ロール・ツー・ロール」方式で実現した。基板の取り扱いが楽になり,処理を高速化しやすい。

 具体的には,無線タグは次の流れで製造する。エッチングによってピラミッド状に切り出した大量の無線通信ICを,液体中にあるフィルム基板の上に流し,同時に基板ごと振動させる。こうすることで基板にあらかじめ付けておいたピラミッド状の凹みに,重力によってチップが一斉にはまっていく。その後,保護フィルムでラミネート加工し,Hgペーストでアンテナ接続用の端子を印刷する。最後に,端子とアンテナを異方性導電フィルムで圧着する。

課題はアンテナの取り付け

 現状の課題は,すべての処理を1秒間に42個の速度で実現できていないこと。現在(2003年8月掲載時点)の製造装置ではアンテナの取り付けに時間がかかっているという。しかも,最後までロール・ツー・ロール方式で製造しているわけではない。最終段階のアンテナ接続用端子の印刷と,アンテナの取り付け工程では,別の製造装置を使っており,いったん装置からロールを取り外す手間がかかる。




本記事は日経エレクトロニクス2003年8月4日号のLeading Trendsを基に,RFIDテクノロジが再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです。


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