「筐体内に入り込む亜鉛(Zn)ウイスカがコンピュータの不具合を引き起こす」。このような話題が今,コンピュータ業界で飛び交っている(関連記事)。Znウイスカは,直径2μm程度と細いZnのヒゲ状結晶である。これがZnメッキを施した部材の表面から自然に伸び始め,数年から10年ほどかけて数mmの長さに達する。そして何らかのキッカケで折れて空調の風に舞い,コンピュータの筐体内に侵入する。侵入したZnウイスカがプリント配線基板の端子間を短絡するといわれている。

 コンピュータ室にそんなZnメッキ材が大量にあるのだろうか――。実は,コンピュータ室の床パネルやそれを支える支柱,梁(はり)にはZnメッキが施してある。これがZnウイスカの発生源と見られている。

 広く知られているわけではないが,同じZnメッキでもZnウイスカが発生しやすいものと発生しにくいものがある。発生しやすいのは,電気Znメッキ処理を施したもの。一方,溶融Znメッキ処理を施したものは発生しにくい。

 電気Znメッキだとウイスカが発生しやすいのは,室温付近で起こるメッキ皮膜の再結晶現象が原因とみられている。ただし同じ電気Znメッキでも,ウイスカ発生を抑止したものもある。

(伊藤 大貴=日経エレクトロニクス)

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