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続・IP電話の夜明け前(13)ノイズが,そしてまたノイズが…(2002年夏)
2002年に入って、IP電話関連機器の開発も、IP電話用の部品の開発も活発化した。筆者は通信事業者向けの宅内装置を開発することになり、その部材選定などに追われていた。
コストを重視するあまり自社商品を差別化し特徴づける技術へのこだわりを失ってしまう結果となってしまったプロジェクトも、それまでに少なからずあった。私達は、音声の信号処理・パケット処理については、当社自身の技術を搭載することにこだわった。私たちは、さまざまの選択肢の中から自分たちのこだわりを生かす、最も成功すると思われるアーキテクチャは何かということを考え抜いた。 小型・低コスト化へのイノベーション その過程で私たちはあるキーデバイスの選択に迫られた。一つは電力消費が極めて低く、パッケージのサイズも小さい革新的なデバイスであった。もう一つは、消費電力は並であるが、市場での実用実績があり、確実に動作することが保証されていた。両デバイスのベンダーからの提示価格はほぼ同じであった。前者は、今後も技術的な進化が期待でき、通信事業者向けのCPEの新しいプラットフォームのコアとなるデバイスとして期待できた。 しかし利点があれば、それを相殺する欠点も必ずあるもので、直感的に「危険な匂い」がすると感じた。後者のデバイスのほうは、技術的なブレークスルーを伴う先進性はないものの、安定した性能をリーズナブルなコストで提供できるものであった。もっとも,装置側で従来製品と同レベルの放熱対策が必要となり、価格も無理をしているような感じはあった。 通信事業者に納入する装置はインフラ機器として、完全に近い安定性が必須条件として求められる。冒険はできない。技術的なリスクをとりつつ将来性にかけるか、当面の安全を優先するかで、正直なところ大いに悩んだ。 魅力と欠点を知り好きになる まずは、前者のデバイスについて、その革新性を支える技術的な背景と、そのトレードオフ要因について分析することにした。その部品ベンダは、米国の会社であったが、私達の質問に対して、極めて正直に答えていただいたと思う。代理店が優秀だったこともあるかもしれないが、低消費電力と高電圧、小型パッケージ化を実現する仕組み、構造、そして、「技術的なこだわり」に関する部分について回答いただいた。トレードオフ要因となると考えられる欠点についての当社からの指摘については、否定をせず、事実をベースに真摯な回答を受けるができた。米国から何度も来日して熱心に説明いただき、技術者を通し心と心が通じ合うと感じるようになった。 まだよく理解できないときに感じていた「危険な匂い」は、技術的な裏づけとその技術に対する彼らなりの「こだわり」を理解するに至り、序々に解消していった。結局、魅力の裏に隠れた、欠点をもあわせて十分に理解することで、私たちは完全にこのデバイスファンになってしまった。欠点もあるが、私達に無いものをもっている。その欠点は、私達が補うことができる。いいものが作れそうだ。私は、こう確信し、多少リスクはあっても、この部品を使おうと決めた。
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