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続・IP電話の夜明け前(12)部材選択の落とし穴を避ける(2002年春)
ブロードバンドでのIP電話がついに普及期に向かい始めた。市場環境も開発環境もどんどん新しくなり、部材の選択肢も急増した。 IP電話が市民権を得て普及するためには、コストダウンが一つの重要な鍵であることはいうまでもない。製品のコストダウンが普及を促し、普及がコストダウンを促すという正のサイクルが、ブロードバンド事業者向けのゲートウエイが世に出ることで、回り始めたという手ごたえがあった。大手のデバイス・ベンダーからスタートアップ・ベンチャーまで、IP電話市場の拡大を見越して本当に数多くの専用部品の商品化が手がけられた。部品の価格競争も本格化した。ARMやMIPSなどの組み込み向けCPUをコアにしたVoIP専用LSIが次々に商品化され、装置を開発する側の部材選択の幅は確実に広がった。 しかし、いま振り返ってみると、ここにいくつかの落とし穴があったのである。このときの経験を元に学んだ教訓を、以下で3項目にまとめてみたい。 (1)動いていないものは信用するな。事実が大切。 2002年が明けてからは、VoIP市場の成長への期待が業界では一気に高まり、多くの部材ベンダーが私達を訪ねてきた。まさに雨後のタケノコのようであった。提案されてきたVoIP専用部材の中には、一見低価格で機能も充実しており、かゆいところに手が届くすばらしいものもあった。仕様もコストも満足できるもので、製品ロードマップにも魅力あふれる提案がたくさん含まれていた。 しかし、現実には期待を裏切るものも少なくなかった。提案の魅力に惹かれて採用を決めても、製品が納期どおりできてこない。出てきても動かない。そして、動かしても求められる性能が出ない。数カ月格闘したあげく、結局はあきらめて、別のものを採用するという結果になったものもあった。 ハードウエアとソフトウエアの双方にいえることであるが、「動いている」ということは、極めて大切である。アーキテクチャや思想がいかによくできていても、実動していないものは、かなり割引いて考える必要がある。繰り返すが、「動いている」という単純な事実こそが、製品化の技術にとって大変重要なことなのである。 (2)コントローラブルであること。あえて弱点を公開するパートナを探す 機器仕様やインタフェース条件をすべて満足していても、実際のユーザー環境においては問題が発生する場合がある。機器として満足すべき仕様はクリアしていたとしても、実環境におけるトラブルは必ず発生する。IP電話サービスという未知領域のサービスの場合は、なおさらである。出荷判定を通って自信を持って出荷した製品でも、予想外のトラブルに遭遇したこともあった。
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