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1億ダウンロードを突破したSkypeの脅威(番外編)年内に映像版と企業向けSkypeを提供する初版の公開から約1年半で1億ダウンロードを突破した無償のIP電話ソフト「Skype」。今後は映像をやり取りする機能の追加や企業向けバージョンの提供を予定するなど,その勢いは止まりそうにない。Skypeを開発したルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズの二クラス・センストロームCEO(最高経営責任者)に今後の戦略を聞いた。(聞き手は日経コミュニケーション編集長,宮嵜 清志) ——2005年2月に携帯電話機を開発する米モトローラと提携したほか,4月にカナダで開催されたVoIP関連の総合展示会「Voice On the Net」では組み込み用LinuxやSymbian OS向けのバージョンの年内提供も明らかにしたが,その狙いは。 Skypeのユーザーはパソコンの利用者がほとんど。自宅や会社のパソコンからSkypeを使って電話をかけるのが主な利用法だろう。ただ,これだけではSkypeの用途が限られてしまう。そこで,携帯電話やPDA(携帯情報端末)からでもSkypeを利用できるようにし,利便性を大きく向上させる。実際,このようなニーズは多く,既にPocket PC向けのバージョンは提供済みだ。 特にSymbian OS対応は開発の最優先事項。Symbian OSを搭載した端末であれば,ダウンロードして自由に使えるようになる。ただし,携帯電話は音声の入出力に独自のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を利用している場合もある。Skypeが動作したとしても,うまく通話できないことがあるかもしれない。 ——映像をやり取りできる「Skype Video」も開発している。 音声通話やチャットの次は映像というのが自然な流れだ。ブロードバンドの普及も後押ししている。Skypeの音質の良さは,PtoP(peer to peer)の技術を使い,サーバーを介さずにユーザー同士が音声パケットを直接やり取りする点にある。同様に映像のやり取りもPtoPの技術を使う予定だ。 映像の品質を高めるのは非常に難しいが,帯域をうまく制御する機能を備えたものを現在開発している。社内の評価も順調に進んでおり,十分な品質を実現できることが確認できれば,すぐにでもリリースするつもりだ。年内には提供したい。 Skype Videoは音声通話やチャット,ファイル転送などと同様に,Skypeの標準機能として提供する。基本的には無償になる(編集部注:多人数によるビデオ会議など,用途によっては有償になる可能性もあると思われる)。 ——企業向けの「Skype for Business」も開発中だが,どのような機能が実現するのか。 我々の調査では,ユーザーの30%がビジネス用途でSkypeを使っている。部署単位などで活用しているケースが多い。しかし,一般の固定電話に着信するSkypeOutやSkype Voicemailなどの料金を,それぞれのユーザーが個別に支払うのは不便という声を聞いている。 Skype for Businessでは,SkypeOutやSkype Voicemailなどの利用料を企業がまとめて購入し,社内の複数ユーザーが共有できるようにすることなどを検討している。年内には提供する予定だ。 Skypeの機能強化に関し,様々な要望をいただいている。しかし,企業内のPBXを置き換えるようなことは考えていない。すべての要望にこたえていくと,結局は「IP-PBX」と同じになり,Skypeの魅力が薄れてしまうからだ。 ——固定電話から着信できる「SkypeIn」は,日本で提供できそうか。 SkypeInは現在9カ国(米国,英国,フランス,ポーランド,スウェーデン,デンマーク,フィンランド,ノルウェー,香港)で提供している。しかし,これらの国と違い,日本には多くの規制がある。IP電話は050番号を使うことになっており,050番号を取得するためには,閉じたネットワークで一定の音質基準を満たす必要がある。 音質には自信があるが,インターネットはベストエフォート型で,ノンコントロールなネットワークである。我々はネットワーク・プロバイダではないので,日本の通信事業者と提携しなければならない。SkypeInを日本で提供するのはかなり難しいが,なんとかして実現したい。 ——ロゴの認定プログラムや開発者に対するAPIの公開に加え,アフィリエイト・プログラム(バナー広告などを利用した成果報酬型の販売促進手法)も開始した。 我々の狙いは,Skypeのユーザーを増やしてビジネスを広げること。Skypeのロゴを使った商品はSkypeの宣伝につながるし,APIを公開すればSkypeの活用シーンが広がる。Skypeの上に多くのサービスを載せ,最終的にはユーザーのメリットにつなげていきたい。 アフィリエイト・プログラムは約2週間前に開始した。ホームページなどでSkypeのダウンロード・ページにリンクしたバナー広告などを張ってもらい,そのサイト経由で他のユーザーがSkypeの有償サービス(SkypeOut,SkypeIn,Skype Voicemail)を利用した際に紹介手数料を支払う(編集部注:現状は日本語に対応していないが,日本からも参加できる。日本語にも対応する予定)。 ——IPO(初回株式公開)や日本法人設立の予定はあるか。 株式公開の計画はまだない。投資会社と従業員を養っていけるだけの利益が出ればいい。SkypeInやSkypeOut,Skype Voicemailといった有償サービスを提供することで経営はうまくいっている。今はSkypeのビジネスを広げることに注力している。 中でも日本は非常に重要な市場と考えている。人員の増加などで日本でのプレゼンスを強化していく予定だが,日本法人を設立する時期までは決めていない。 |