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続・IP電話の夜明け前(9)

低価格ブロードバンドの衝撃(2001年6月)

2005/04/20

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沖電気工業
情報通信事業グループ
インキュベーション本部
eおとプロジェクト
薄葉 伸司 沖電気工業
情報通信事業グループ
インキュベーション本部
eおとプロジェクト
薄葉 伸司

2001年度の開発が始まった。VoIPゲートウエイをはじめ、多くの開発計画が持ち上がっていたが大事件の発生で、見直しすることになった。2001年の6月のできごとであった。

 2001年6月19日。日経新聞の1面を飾る記事に衝撃を受けた。一般家庭向けADSL回線を、月額3000円を切る定額料金で提供する、画期的な通信事業者サービスの登場であった。頭を後ろから殴られたような衝撃であった。個人的に、定額で低料金の通信サービスが出てくることを心待ちにしていたこともあり、非常に興味深く記事を読んだ。そして、コンシューマ向けのブロードバンド・サービスが本格化する火蓋が切られたと思った。その発表と前後して、にわかに社内が騒がしくなった。

ブロードバンドを利用したVoIPゲートウェイの開発

 逃すわけにはいかない波が来たと感じた。私たちは、ブロードバンド回線を利用した新ビジネスに注目し、その機会をうかがってきたが、ADSLの低価格化をきっかけにして、突如その機会が拡大したことを感じた。流れはブロードバンドへ向かい、加速される。当社の暖めてきた技術を最大限に利用した商品を開発してこの大波に乗せることができれば、大きなビジネスチャンスになる。

 通信事業者のブロードバンド回線を利用したIP電話サービスの構想自体は以前からあったが、そういったサービスの開始時期はまだもっと後にくるものと予想していた。ブロードバンドが普及してから音声がそれに取り込まれていくシナリオを本流として考えていたのであるが、ブロードバンドとIP電話の普及が同時に進行するシナリオの可能性が俄然、現実味を帯びてきた。それまでの想定とは逆に、ブロードバンドを普及させるためのツール、いわば“キラーアプリケーション”としてIP電話が提供される可能性さえでてきた。せっかく見えてきたビジネスチャンスである。これを逸するわけにはいかない。

 そんな思いが頭をよぎる中、事業体責任者から「ブロードバンドの宅内装置として、VoIPの機能を搭載したブロードバンド向け製品」を、年内に提供することができるかという打診がきた。

写真1 VoIP-TA 2000年にIPstageと同時に出荷した製品。
写真1 VoIP-TA 2000年にIPstageと同時に出荷した製品。
 本連載の第6回目で述べたように、当時私たちはVoIPの分野で二つの流れの開発アプローチによる技術、製品を持っていた。「事業所間通信」にVoIPを利用するアプローチと、「事業所内通信」用VoIPのアプローチである。前者は、BVシリーズに代表されるVoIPゲートウエイで、狭く不安定な帯域でいかに安定した音声品質を保証するかということに技術的ウエイトを置いて開発されていた。後者は、IPstageに代表されるIP-PBXで、機器コストを下げることにウエイトが置かれていた。

 後者のアプローチの中で、「VoIP-TA」というシングルチャンネルのVoIP用アダプタも既に製品化されていた「ブロードバンド向け製品」に求められる条件に、最もイメージの近いものがこの「VoIP-TA」であった。(写真1

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