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続・IP電話の夜明け前(7)

PHSの実験場所に悩む(2000年3〜7月)

2005/03/09

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沖電気工業
IPソリューションカンパニー
ソリューション開発本部
兼e音プロジェクト
薄葉 伸司 沖電気工業
IPソリューションカンパニー
ソリューション開発本部
兼e音プロジェクト
薄葉 伸司

IP-PBX第2世代機の開発に取り掛かった。今回の白眉はPHS。同期がきちんととれないと通信エラーを起こしてしまうIPネットワークにとっては難しい代物だった。

 まずは、アルゴリズムを実機で検証することにした。前回説明したように、LUにPHSを収容するということは、IPネットワーク上で同期通信を保証するということとほぼ同じ意味となる、非常に技術的にハードルの高いものであった。実機検証は、この技術を確立するのに非常に重要な役割を果たした。アルゴリズムの不備を見つけ、その不備を修正し、再度実機で検証するという作業を延々と繰り返した。

 既存製品で基本方式が確立したものを応用して新しい製品を開発する場合、検証項目や期間は、最初の想定と大きくずれないものである。しかし、このような、基本方式から検証するようなものは、予想以上に時間と工数を要する。この場合もそうだった。

 なぜに何故にここまでして、LAN上で同期の仕組みを折り込む必要があるのかという声も上がってきた。しかし、企業内通信をLAN、IPネットワークに統合するという基本思想を貫くためには、避けて通れない取り組みであった。そのような思いを肝に念じて、時間と労力をかけて、検証を繰り返した。こうした検証により、非同期網で同期をとるアルゴリズムの検証の完成度を上げていった。しかし、PHSの収容には、さらにもう一段乗り越えるべきステップがあった。

PHS検証場所に苦しむ

 アルゴリズムの完成度が上がり、LAN上に配置されるユニット間でPHSの通信を同期させる仕組みはできた。しかしこの同期の仕組みは、安定状態になるまでに、ある程度の時間がかかる。従って、従来からある回線交換ネットワークと完全に同じ動作保証をすることはできない。つまり安定状況になるまでの時間があるので、その時間が実際のPHSの動作にどう影響するかを検証する必要があったのである。事業所用PHSシステムの開発は沖電気の社内でも以前やっていたこともあり、最初は、その開発環境を利用すれば、比較的簡単にできるであろうと考えた。

写真1 電波暗室
写真1 電波暗室
 しかし、その見極めには、それまで設計検証でよく使用していた電波暗室(写真1)などの環境では不十分であった。基地局間の距離が短く、境界性能を見極められなかったのだ。またそのため、屋外で検証を試みようとしたが、既に公衆用のPHSがかなりの勢いで普及しており、どこで実験しようとしても1.9GHz帯の電波が飛び交っている状況で、実験環境を簡単に手に入れられなかった。一体どこで、この構内PHSの実機検証を行えるだろう? 適用な場所がなかなか見つからない。同期の仕組みの検証は必ず必要だと思っていたが、そのための場所探しは、このとおりかなりやっかいで、開発をまとめる近藤君始めメンバーは頭を悩ませた。道を開いてくれたのは、沖コムテックの3年目社員のK君の柔軟な発想だった。

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