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IP電話の夜明け前(最終回)

愚直の一念で出会った宝の山

2004/10/06

沖電気工業
IPソリューションカンパニー
ソリューション開発本部
インキュベーション推進部
薄葉 伸司

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無謀とも思えた2製品同時開発の完了を目前に、関連企業に出向することになった。結果的にはその後もVoIP製品開発に携わることになった。

 揺らん期のVoIPへの私たちの取り組みをご紹介してきた「IP電話夜明け前」も、今回で最終回を迎えた。ここで述べてきた活動は90年代のものであるが、その当時は、新聞で「VoIP」だとか「IP電話」という言葉を見つけようものなら、切り取って開発メンバ内部で大切に回覧したような時代であった。しかしその後2000年代に入ると、これらの言葉は俄然多く目につくようになった。最近では逆に紙面で見かけない日がないくらいで、一面にIP電話を扱った記事が記載されることも珍しくない。

 95年夏、両手で数え切れるくらいのわずかの数の人間で始めたVoIPも、現在では弊社でも相当数の者がかかわり支える重要な事業分野となった。一昔前、通信業界の中でほとんど見向きもされなかったVoIPが、IP電話として市民権を得ている昨今の状況には隔世の感を抱かされる。本格的なIP電話時代の到来を控え、私たちの取り組みは画期的だったのかもしれないと思えるようになった。

 最終回を迎えるにあたり、このような経験を通して、新市場の創世の一端にかかわることのできた立場の一員として、「何が革新的な結果を生んだのか」について、私なりに思うところを述べてみたい。私が重要と思う要因は3項目ある。

【1】常識で考えない

 「音声パケットは過去の技術」。1900年代後半から続いていたパケット通信の研究蓄積の果てに、業界ではそのような常識が生まれていたと思う。パケット通信の潜在能力の高さは、通信を知っている人間であれば、誰でも知識としては知っている。しかし「音声パケット」と言ったとたん、否定的な反応が返ってきたものだ。よく勉強している人、また研究していた人こそ、実用に至らない技術という先入観が根強かったのでないだろうか。

 時代の変化とともに阻害していた要因がなくなることもあれば、発想を変えてみることで課題が解決することもある。「できない」といわれたら、「できない」理由を冷静に考えてみることが大切だと思う。既成概念が邪魔をしているものである。

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