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IP電話の夜明け前(12)

2製品同時開発に取り組む(1998年末〜1999年)


沖電気工業
IPソリューションカンパニー
ソリューション開発本部
インキュベーション推進部
薄葉 伸司

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98年末に大容量VoIPゲートウエイ「BV2000」の最初のユーザーが決まった。納期は99年3月末。決して楽な道のりではない。にもかかわらず、私はこの後とんでもない暴挙に出ることになる。

写真1 沖電気工業のドイツ現地事務所
写真1 沖電気工業のドイツ現地事務所
 98年12月。ドイツからのメールを受け取った(写真1)。杉本事業部長の後を引き継いだK事業部長が欧州へ出張していたのであるが、欧州向けの製品を開発できないかとの打診であった(担当は海外営業の浅井さん,写真2)。

写真2 海外営業担当(当時)の浅井千春さん
写真2 海外営業担当(当時)の浅井千春さん
 欧州は、複数国家の集合体という事情もあり、通信機器の統一インタフェースを指向したISDNが普及していた。BS1200は、FXS(一般電話インタフェース)とOD(専用線インタフェ−ス)の、2種類のアナログ・インタフェースに対応していたが、欧州向けのゲートウエイとしては、新たに別のインタフェースを開発する必要があった。ISDNの基本レートである「BRI」インタフェ−スである。

 デジタル・インタフェースの開発という新たな課題である。希望納期は、99年4月。つまり開発から納品までの期間が約4ヶ月ということになる。極めて短い納期と言わざるを得ない。大変なチャレンジであったが、私は、この開発を引き受けることにした。事情を知らない人間からは、とんでもない暴挙に見えたことだろう。

「ニーズがあるならば作るべきだ」

 挑戦することにしたのは、ひとえにそれまで築きつつあったVoIPゲートウエイ市場拡大のチャンスを失いたくないという気持ちからだった。「ニーズがあるならば作るべきだ。地域を問わずVoIP市場を立ち上げて業界での認知を獲得したい」といった思いもいつも頭の片隅にあった。

 当時、コア技術開発の方は時間の経過とともに完成度が高くなってきていた。その様子をみるにつけ、「品揃え」の方を担当する私たちの気持ちは、使命感というよりは義務感に変化しており、「できない」とは言いたくなかったのも本音である。最初のVoIPゲートウエイの開発をしたというプライドもあり、自分たちが作り上げたVoIP技術の実力を未知の欧州市場で試してみたい気持ちもあった。

 そうはいっても、あまりにも開発期間が短すぎる。ここで、最後に私の背中を押して一見無茶な取り組みへと駆り立てたものは、チームメンバーの情熱とパフォーマンスの高さであった。


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 [2004/08/30]

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