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IP電話の夜明け前(2)執念の初出展(1996)
沖電気工業 IPソリューションカンパニーIPシステム企画開発本部 プロダクトマネージャ 薄葉 伸司
初めてのIP電話関連製品を開発していたときのこと。1996年4月の展示会「コミュニケーション東京」出展を目標としていたのだが、そのわずか1カ月前にLSIの致命的なバグに気付き途方にくれてしまった。そのとき、部下のK君が「何とかできるかもしれない」と言い出した。
ワラにでもすがる気持ちでK君の案を聞いた。それはLSIのバグの部分を別の基板上に回路を作って代替するというもの。FPGAというプログラムで機能を変更できるチップを使ってLSIの代わりをさせるのだ。言うのは簡単だが、回路設計者にとっては「大それた」と言っても過言ではないほど大変な作業だ。 K君は当時入社5年め。回路設計の経験が浅かったから、この大胆な提案を思い付いたのだった。また、K君はチャレンジ精神が旺盛であり、実際にそれをやってのけるだけの気力も持っていた。 あきらめるわけにはいかない。選択肢は一つしかなかった。K君と私はその日から実験室に張り付いた。K君が改修を担当し、私は「まるで背後霊」のようにその作業を手伝っていた。「まるで背後霊」というのは当時を知る人から後で実際に言われた言葉である。 実験室は東京タワーの見える芝浦のビルの11階にあった。朝、朝日輝く東京タワーを見て実験室に入る。そして、ふと外に目をやるとイルミネーションで彩られる東京タワーが目に入る。こういった感じで、あっいう間に一日いちにちが過ぎていった。それだけ集中していたのだと思う。そして、ようやく音声らしきものが聞こえるようになったのは、展示会の1週間前であった。
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