総務省は8月12日,人事異動を発表した。同月15日付けで発令する。通信事業を統括する総合通信基盤局長には自治行政局公務員部長の須田和博氏が就任する。

 須田氏は旧自治省系部局からの異動ではあるが,旧郵政省で通信制度やサービスを所管する電気通信事業部の要職を歴任。通信系部局は約10年ぶり。省内からは「理詰めの人」との評判。NTTの“再再編”など事業面,将来の電波利用政策の手腕が注目される。

 情報通信政策局長には,携帯電話や無線LANなどの電波割り当ての政策を取り仕切った総合通信基盤局電波部長の竹田義行氏が就任する。

 現在,総合通信基盤局長の有冨寛一郎氏と情報通信政策局長の堀江正弘氏は,それぞれ総務審議官へと昇格。林省吾,新総務事務次官を支え,総務省全体の政策を取り仕切ることとなった。

 総合通信基盤局内では,今後の通信政策を占う上で極めて重要な人事がなされた。

 NTTの規制や通信サービスの制度を取り仕切る電気通信事業部長には,独立行政法人情報通信研究機構(NICT)理事の寺崎明氏が就任。寺崎氏は移動通信課長や技術政策課長などを歴任した技術官僚だ。省内からは「通信ネットワークの利用を考える上で,セキュリティなど技術の視点が重要」,「技術系だが政策面にも非常に明るい」と評する声がある。現・電気通信事業部長の江嵜正邦氏は経済産業省に出向となる。

 また,無線系サービスの技術や割り当て方針を取り仕切る電波部長には,経済産業省に出向中の桜井俊氏が就任。経産省ではIT戦略担当の審議官を努めていた政策通。旧郵政省では通信政策局政策課長,総務省では大臣官房秘書課長など政策立案を担当する事務畑の要職を歴任している。

 今後,2~3年はNTTグループの再再編や携帯電話の新規参入,通信と放送の融合など大きな案件が待ち構えている。省内ではこうした局面を乗り切るための「最強の布陣」と評されている。

 このほか,事業政策課長は料金サービス課長の鈴木茂樹氏が,料金サービス課長には在米国日本大使館から帰国した総務課調査官の谷脇康彦氏が,データ通信課長には事業政策課企画官の大橋秀行氏が,総合通信基盤局総務課長には事業政策課長の吉田靖氏が,それぞれ就任する。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション