総務省は8月2日,2005年3月末時点での光ファイバの事業者シェアを公表した。その結果,近畿圏でNTT西日本のシェアが50%を割る県が出ていることが判明した。調査は,ユーザー宅に引き込む光ファイバの加入者回線が対象。東西NTTとその他の事業者のシェアを都道府県ごとに公表している。

 これによると,東西NTT地域会社のシェアが50%を割ったのは,滋賀県と奈良県,和歌山県。滋賀県が43.8%,奈良県と和歌山県がそれぞれ48.3%だった。全国平均は78.1%のため,3県の低さが際立つ。このほか,兵庫県が54.4%となっており,近畿圏で軒並み低い。電力系通信事業者ケイ・オプティコムの影響が大きいと見られる。

 加入者回線のシェアは,総務省が規制の方針を決める上で重要な基準となっている。総務省はシェア5割以上の事業者の設備や回線に開放義務を課しているため,5~6割台と東西NTTのシェアが低いエリアの動向に注目が集まっていた。

 ただし現時点で総務省はシェアを「光ファイバ+メタル線」の総和で見ているため,開放義務の撤廃には直結しない。総務省は「加入者回線全体に占める光ファイバの回線数は約3%と小さいため,現時点では単体で見ることはない」(総合通信基盤局料金サービス課)としている。ただし,関連法令では「メタル線」や「光ファイバ」の扱いが明確でなく,「光ファイバ単体」でシェアを見る解釈も否定できない。

 なお,総務省は6月3日にシェアの速報値を発表しているが,西日本地域でNTT西日本のシェアが速報値より軒並み下がっている。これはNTT西日本が提出したデータに誤りがあったためだという。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション