東京都は7月23日夕方に発生した地震で問題となった,震度情報の送信遅れを8月末までに改善する。東京・足立区の消防署では最大となる震度5強を観測したが,情報が気象庁に到着するまでに発生から22分もかかってしまった。そのため政府が改善を要請するなど,批判を浴びている。

 対策として都は気象庁に送る情報を処理するために専用の高性能サーバーを8月下旬までに導入して稼働。送信時間を短縮する。管轄する東京都総務局総合防災部防災通信課の古田功三課長は「7月23日と同様の地震が起こっても,送信までにかかった22分を9分まで短縮できる見通し」と言う。

 都内には市町村役所や消防署など99カ所に震度計が設置してある。この情報を都庁が受け取り,それぞれの地点で最も大きな震度情報を算出。データ形式変換などの処理を経て気象庁へデータを送信する。今回この最大震度を算出する処理に約17分かかり,最終的に気象庁にデータが届いたのは地震発生から約22分後となった。地震の揺れが特に大きかったため,一つの震度計から何度も情報が届き最大震度の割り出しに時間がかかってしまった。情報の伝送路は約10Mビット/秒の無線回線。そのため,回線がボトルネックとなることはないという。

 東京都の古田課長は「実際に大きな地震が起きると,様々な問題が見えてくる。それぞれきちんと対応していきたい」として,システム全体を見直し情報送信のさらなる迅速化に取り組む。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション