7月23日午後4時35分頃,千葉県北西部を震源とする最大震度5強の地震が関東地方を襲った。地震直後は,電話トラフィックが増大。警察・消防や自治体などの重要な通信を確保するため,発着信の規制がかけられた。

 浮き彫りとなったのは,固定電話より携帯電話がより大きな規制の対象となったこと。揺れが大きかった東京都や千葉県,埼玉県,神奈川県を中心に,このエリアで発信と着信の両方の規制が長く続いた。

 NTTドコモは地震発生直後から午後6時41分まで規制を実施。第2世代携帯電話システムで発信を最大87.5%,着信を最大50%規制した。第3世代のFOMAは発着信ともに最大50%規制した。KDDIでは午後4時36分から午後8時30分までとドコモより長時間の規制をかけた。同社では,最大で85%の発信規制,87.5%の着信規制を行った。

 ボーダフォンでの規制は小規模だった。第3世代では午後4時37分から同46分までの10分間,最大80%の発信規制をかけた。第2世代では規制は行わなかった。

 固定電話では,NTT東日本が発生直後から1時間程度,最大で7~8割の発信を規制した。また,NTT東日本からの要請を受け,KDDIでは午後4時52分から「043」,「047」局番への発信規制の措置をとった。

 新潟県中越地震をきっかけに,通話の規制下でも携帯電話のメールが使えることが認知されだした。ただしこれが可能なのは,音声とデータを分離した規制ができる第2世代とKDDIのCDMA 1X WINの端末のみ。FOMAやKDDIのCDMA2000 1X端末ではメールも規制の対象となった。これは今回の関東地区の地震でも同じ。

 今後,FOMAなどの第3世代が普及すると,被災地で携帯メールが有効な手段ではなくなる可能性が高い。KDDIは「2005年春の端末では分離規制に対応している。網側での対応は,ユーザーのニーズなどを見て対処していく」としている。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション