総務省が電話網のIP化に伴い,IP電話の相互接続検証などを進めるための業界団体の設立を検討していることが明らかになった。一部報道では,「次世代ネットワーク推進フォーラム」という名称が上げられたが,名称や形態については現時点では未定だという。

 IP電話の標準規格には,複数の解釈が可能なあいまいなものもある。そのため,同じ規格に準拠しながらも,開発者の解釈の仕方によっては相互接続できない事態が発生する。

 現在は,TTC(情報通信技術委員会)やHATS推進会議(高度通信システム相互接続推進会議)といった業界団体が相互接続性の検証を実施している。だが,「より横断的な組織で端末の相互接続検証が必要。HATS推進会議を中心にした新組織か,各業界団体間をつなぐ連絡会のような組織を年内にも設立させたい」(総務省通信規格課)考えだ。

 新たに立ち上げる組織は,民間企業のほか有識者なども参加する。情報通信研究機構(NICT)の参加も有力視される。「今後,通信事業者の電話網のIP化に向けてメーカー各社の開発競争が始まる。端末の検証は中立的な組織で実施する必要がある」(総務省通信規格課)のがNICTなどの参加を検討する理由だ。公平な検証環境を業界で構築し,あらかじめ何らかのガイドラインを作ることで相互接続性を担保するのが目的である。

 また,総務省が国内の電話網を2007年までにIP化を行う通信事業者に要請するという一部報道に関しては,「2007年までにIP化という考えではない」(総務省事業政策課)と説明する。「u-Japan構想で2010年をめどに電話網のIP化を進める方針を明らかにしている。2007年度内(2008年3月まで)には,IP化を視野にいれた接続料算定方式など制度面での環境整備を進める予定だ」(事業政策課)。

(山根 小雪=日経コミュニケーション