KDDIは,携帯電話の契約情報を記録した小型ICカードを使い,1回線の契約で複数の携帯電話機を使い分けられるサービスを9月に始める。7月13日,東京ビッグサイトで開催中の「WIRELESS JAPAN 2005」の会場で発表した。「au ICカード」と同カードに対応した端末は,サービス開始と同じ9月に発売する(写真上)。

 ユーザーは,利用したい端末にこのICカードを装着することで,自分の契約のau携帯電話として使えるようになる。当初の対応端末は,「W32H」(日立製作所製),「W32S」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)の2機種の予定(写真下)。その後,順次対応機種を拡大する方針だ。

 またKDDIは,au ICカードの提供に合わせて新たに(1)GSM(global system for mobile communications)携帯電話による国際ローミング・サービス「GLOBAL EXPERT」,(2)PKI(公開鍵暗号基盤)による電子認証サービス「Security Pass」──を用意する。

 GLOBAL EXPERTは,欧米・アジアで使えるGSM携帯電話にau ICカードを差し込むだけで利用できる国際ローミング・サービス。au ICカードの仕様は,GSM携帯電話のSIM(subscriber identity module)カードをベースにしたCDMA2000携帯電話向け仕様「R-UIM」(Removable User Identity Module)に準じている。このため,基本的に世界各国で発売されているGSM携帯電話を利用して,世界160カ国で音声通話が可能になる。ただしショート・メッセージやパケット通信は利用できない。

 通話料は,例えば米国に滞在している際の米国内への発信が155円/分,日本への発信が250円/分。このほか,着信時にも190円/分かかる。KDDIでは,フィンランドのノキア製「NOKIA 3120」でau ICカードの接続を確認している。

 一方Security Passは,KDDI運営の電子認証局からau ICカード対応端末に電子証明書を発行するサービス。端末から電子証明書をダウンロードして,EC(電子商取引)サイトの利用時や企業ネットへのリモート・アクセスの際の認証に利用する。ECサイトの運営者や企業側は,この証明書によってサーバーにアクセスしてきた端末を正当なものであると認証できる。