「(今回の無線LANインフラの統合のような)グループ同士の協業や資源の有効活用を今後も進めたい」――。NTT持ち株会社の和田紀夫社長は7月12日の定例記者会見で,無線LANインフラの統合以外でもグループ内の重複事業の整理に意欲を見せた(写真)。検討の俎上(そじょう)に上がっているのはインターネット接続(プロバイダ)事業である。

 グループ内で重複するサービスや事業が生まれることについて和田社長は,「新しいサービスが出始めたときは市場を盛り上げるためにも,事業会社各社が切磋琢磨して同じサービスを開始するのは仕方ない」と,一定の理解を示す。「しかし,市場が成熟してくれば,それに合わせて対応する必要がある。(無線LAN以外では)プロバイダ事業もグループ内に複数あり,今後はプロバイダ事業のあり方も見直しを考える」と,グループ内のプロバイダ事業の再編や統合の可能性に言及した。

 NTTグループでは現在,NTTコミュニケーションズの「OCN」や,NTT東日本の子会社であるぷららネットワークスが提供するプロバイダ・サービスなどがある。これまでもグループ内のプロバイダ事業を再編した実績はあるが,比較的小規模な統合にとどまっている。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション