NTT持ち株会社などは7月11日,ブロードバンド回線を使った介護予防サービスのトライアルを開始すると発表した。NTT東西地域会社のFTTH(fiber to the home)サービス「Bフレッツ」や,「フレッツ・ADSL」を利用し,映像ストリーミングやテレビ会議システムを組み合わせたサービスとなる。システムを開発したNTT持ち株会社の井上友二取締役第三部門長は「NTTグループが中期経営戦略で掲げた“光回線3000万ユーザー”を達成するための(光ならではの)サービスの一環だ」と強調した(写真)。

 NTT東西とNTTコミュニケーションズがネットワークやシステム構築,運用保守を担当し,テルウェル東日本/西日本がサービス提供の窓口となる。NTTによると,介護予防サービスの対象となる施設やユーザーは日本国内で,在宅介護支援センターが1万拠点,保健所が3200拠点,介護施設が3万拠点,医療機関が1000拠点にもなり,介護予防サービスを必要とする高齢者は270万人にも上るという。これらの拠点やユーザーへのFTTH普及を狙う。

 介護予防サービスは,「東京都老人総合研究所」の指導プログラムを使用。具体的には,健康状態を把握するための健診メニューや,転倒骨折などを予防するための映像を使った体操プログラムなどをネットワークを通じて提供する。介護サービス・センターなど医療機関の接続だけでなく,在宅でもFTTHなどを利用してサービスを受けられるようにする。

 トライアルは,テルウェル西日本が7月末から名古屋市と静岡市の介護サービス施設で提供。NTT側のシステムとインターネット経由で接続する。テルウェル東日本は今秋にも介護予防センターを東京・世田谷区に開設し,ネットワークに接続する。商用化は秋以降になる見込みで,サービス料金は「回線料金は別で,月額数千円程度にする予定」(井上取締役)だという。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション