総務省は7月7日,デジタル・デバイドの解消策や解消目標を議論する「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会」の第9回会合を開催。同研究会の最終報告である「次世代ブロードバンド構想 2010」をまとめ,議論を終了した。最終報告は7月15日までに発表する。

 同研究会は5月30日に最終報告案を公表。内容はブロードバンド整備状況といったデジタル・デバイドの実態や,新しい整備目標,デバイド地域が抱える課題と対策などである。これに対して6月27日まで意見募集(パブリック・コメント)を実施し,地方公共団体や通信事業者,個人などから151件の意見が寄せられた。

 寄せられた意見は整備目標から整備対象,整備方策,インフラの安全性など多岐にわたる。中には,著作権の整理ができていないIPマルチキャストを使った放送の再送信や,ブロードバンドをユニバーサル・サービスとするかの議論を望む声があった。中継系光ファイバを借用する際の課題を指摘する意見も含まれる。岩田知也・高度通信網振興課長は「(この研究会では議論の中心にならない)外側についての議論がいろいろ出てきている。場を作って検討しないといけないことがまだあると改めて感じた」とコメントした。

 会合の締めくくりに有冨寛一郎・総合通信基盤局長は,「これまでデジタル・デバイドの是正は骨太方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)に入っていなかったが,それが今年6月に出されたもので入った」と,デジタル・デバイド解消の重要さを強調。国の財政が厳しく,三位一体改革で補助金を減らす事情などもありハードルは高いとしながらも,「何とか社会問題としてアピールしていきたい」と意気込みを語った。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション