総務省の「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」は,7月5日にSIG(スペシャル・インタレスト・グループ)-IIと呼ぶ部会の第1回会合を開催。デジタルデバイドの対策となる無線ブロードバンドの実現手段などについて話し合った。今後さらに議論を深め,10月中旬に研究会の親会に報告する。親会でその内容をさらに吟味し,11月に報告書をまとめる予定だ。この内容は,今後の周波数政策に影響する可能性が高い。

 ワイヤレスブロードバンド推進研究会は,今後登場が見込まれる無線ブロードバンド・システムの用途や必要な周波数などについて話し合う。その部会に当たるSIG-IIは,有線ブロードバンドの提供が困難な地域向けに無線ブロードバンドを提供する無線システムを議論の対象としている。

 今回の会合では,有線の代わりに無線ブロードバンドを利用するネットワークの案を事務局が提案した。具体的には(1)主要都市から距離がある小規模市町村に届く基幹通信網,(2)世帯密度が小さい市町村のアクセス網,(3)収容局からの距離などの理由でブロードバンド・サービスが提供されない地域や集合住宅のアクセス網,(4)既設の有線よりも安価に提供可能なアクセス網/専用回線――の4種類だ。今後,どういった技術を採用するかといった議論をネットワークごとに進める。

 その後,親会で6月24日に公表した16種類の無線ブロードバンド・システムの提案について,提案者の通信事業者やメーカー,商社などが内容を説明した。16提案中8提案と全体の半数に上ったのは,WiMAXを利用したシステム。通信事業者では,KDDIや日本テレコム,NTTPCコミュニケーションズなどが提案している。ほとんどはWiMAXをアクセス網に利用する内容だったが,KDDIはWiMAXによるメッシュ・ネットワークを提案していた。この方式では,WiMAX基地局が互いに無線で通信するため有線バックボーンがほとんど要らない。

 ほかに京セラが無線ブロードバンド「iBurst」,三洋電機がW-CDMAを拡張したFWA(fixed wireless access)システムを提案。キヤノン販売,ビル間高速光空間通信網推進協議会,光無線通信システム推進協議会が光無線通信システム,JSATが3種類の衛星通信を提案した。