NTT東日本の高部豊彦・新社長は6月30日,就任会見で新体制の方針について述べた(写真)。(1)FTTH(fiber to the home)の普及,固定電話と携帯電話の融合(FMC),通信と放送と融合など,ユーザーのニーズに対応した新サービスで経営基盤を確立,(2)NTT東日本グループ内の県域業務会社の再編成を中心としたコスト削減と業務プロセスの改善,(3)災害対策や個人情報の取り扱いといった,サービスの信頼性の確保――への取り組みに言及した。
 
 (1)については「最優先は“光”(FTTH)の普及」と断言。「今年度の目標達成のためにメニューの拡充や納期の短縮,光ならではのアプリケーションのため,グループを通じて相当力を入れる」(高部社長)と意気込みを示した。

 (2)の業務プロセスの改善を進める結果,「現場に近いグループ会社への人材シフトで,約1万5000人にいたNTT東日本の社員は7月1日付けで9000人以下まで減る」(高部社長)という。併せて,「東日本グループには約6万人の人材がいるので,本体よりも動きやすいグループ会社を使って,回線に頼らない収入も増やしたい」と,新ビジネスへの意欲もみせる。

 今秋にロードマップを発表する予定のNTTグループの中期経営戦略について聞かれると,「これまでは(持ち株会社として)グループ全体の最適解を考える立場にあった。今後は現場を見ながら事業を実際に担当する悩みを聞きつつ,私自身も悩みながら解決して取り組みたい」と答えるにとどまった。

 高部社長はNTT東日本の社長に就任するまで,NTT持ち株会社の副社長を3年間務め,事業戦略などを担当。2004年11月に発表した中期経営戦略の策定も主導した。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション