東京都杉並区の中学校2校が6月28日,マイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox」を使ったテレビ会議授業を実施した。マイクロソフトは6月に,杉並区の小中学校に対して計80台のXboxを寄贈。今回はそれを利用して,同区下井草の区立東原中学校と同区堀之内の区立泉南中学校の2校間で,ユニークな授業が行われた。

 授業は2部構成。まずはXboxのテレビ会議機能を使って,東京港区の草月ホールで実施されているシンポジウム「インターネット社会を迎えて-市民に迫られる安全対策-」(主催:インターネット安全運動実行委員会)をライブ中継した。

 同シンポジウムには,米マイクロソフト会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのビル・ゲイツ氏(写真)が登壇し,同社のセキュリティへの取り組みを紹介。ゲイツ氏は「インターネットを安全に使うには,ユーザー側の意識の向上も必要。これからはユーザーが最新技術や情報を常に入手する姿勢が求められる」と,画面を通して生徒たちに語った。

 続いて,同じくXboxのテレビ会議機能を使い,東原中学校の「選択・理科」の2年生徒10人と,泉南中学校の「選択・技術科」の3年生徒18人の間で,インターネットを利用した授業への要望などの意見交換が行われた。最初は慣れないテレビ会議に生徒たちは緊張の面持ちだったが,次第に発言が活発化。「学校間の生徒会の意見交換に使いたい」「テレビ会議システムを使って他校の先生の授業を受けてみたい」といった意見が飛び交った。

 今回の授業の司会進行役を務めた区立東原中学校の横井弘教諭によると,Xboxが届いたのはわずか1週間前。本格的なテレビ会議の実施は今回が初めてだったという。回線は中学校に既に敷設してあるNTTの「Bフレッツ」を使った。横井教諭は「パソコンのテレビ会議と比べて,Xboxはセッティングが楽だった」とメリットを強調した。