総務省の「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」は,6月24日に第6回会合を開催。4月14日から5月20日まで提案を募集していた無線ブロードバンド・システムの提案結果を公表し,今後の進め方について話し合った(写真)。今後は三つの利用シーンに分類したSIG(スペシャル・インタレスト・グループ)を設置して,(1)利用する通信規格,(2)ビジネス・イメージ,(3)ニーズの成長予測,(4)望ましい周波数帯と周波数幅,(5)望ましい導入時期などについて議論を深める。

 総務省は,無線ブロードバンド・システムについて想定される用途や技術,使用したい周波数帯と周波数幅の提案を5月20日まで募集(関連記事1)。通信事業者やメーカー,商社など44社から72通の提案が集まった。これをベースに,無線ブロードバンド環境を整える方策について議論を進めて報告書をまとめる予定だ。この内容は,今後の周波数政策に影響する可能性が高い。

 三つの利用シーンに分類したSIGは次の通り。SIG-Iでは,列車や自動車などの移動環境における無線通信と,自宅や職場から持ち出したパソコンによる外出先での無線通信について話し合う。提案されている通信規格は,高度化第3世代携帯電話や第4世代携帯電話,高度化PHS,WiMAX,iBurst,flash-OFDMなど。

 SIG-IIは,有線によるブロードバンド提供が困難な地域向けに無線ブロードバンドを提供する目的の無線通信が議論の対象。WiMAXや衛星通信,光無線通信などが提案された。SIG-IIIではITS(高度道路交通システム)について議論する。なお情報家電は,情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)がSIGの役割を代行する。

通信事業者10社がWiMAXのサービス化を提案

 提案内容で特に目を引いたのが,サービス化を望む通信規格としてWiMAXを挙げた提案が多数だったこと。通信事業者では,実験局予備免許を取得したYOZAN(関連記事2)のほか,KDDI,ソフトバンクBB,日本テレコム,イー・アクセス,NTTPCコミュニケーションズ,パワードコム,フュージョン・コミュニケーションズ,関西電力,平成電電が提案。メーカーでは,インテルやシーメンス,モトローラ,サムスン電子,富士通,三菱電機が提案している。