ウィルコムは6月21日,高速なデータ通信を可能にする次世代PHSシステムを検討中であると明らかにした。今夏にも採用する技術を決め,総務省が第3世代(3G)携帯電話サービス向けに新規開放する周波数のうち,TDD(time division duplex)方式向けの2GHz帯(2.010G~2.025GHzの計15MHz)の免許申請に動く見通しだ。

 同社が1.9GHz帯でサービス中の現行PHSシステムでも,1~2Mビット/秒程度までの高速化は可能。2GHz帯でのサービスを検討中の次世代PHSシステムは,これを上回る通信速度となる見込みだ。ただし「どういった技術を採用するか現時点では未定」(ウィルコム)。

 新規開放する3G向け周波数については,総務省が6月3日に方針案を公示済み(参考記事)。7月4日まで意見書を募り,8月をメドに正式な方針が確定して免許申請の受付を始める。ウィルコムは申請時までに技術を確定する必要があるため,夏ころには次世代PHSの概要が明らかになると予想される。同社が獲得を検討している2GHz帯は,ベンチャー企業のアイピーモバイルも割り当てを希望。方針案では割り当ては1社となる予定のため,衝突は必至だ。

 なお同時に新規開放される予定の1.7GHz帯は,FDD(frequency division duplex)方式が対象。携帯電話事業への新規参入を目指すソフトバンクとイー・アクセスが,この周波数帯の獲得に向けて動いている。また既存事業者ではNTTドコモとボーダフォンが,周波数のひっ迫を理由に割り当てを希望している

●日経コミュニケーション編集部より 現行PHSシステムの周波数に誤りがあったため,訂正いたしました。2005.06.21