経済産業省は6月15日,京都市のエス・ケー・アイおよびアジアン・オアシスの2社が特定商取引法に違反したとして,通信販売業務の一部を3カ月停止するなどの行政処分を下したと発表した。

 この2社は2003年ころから,運営するアダルト・サイトの広告メールを不特定多数のユーザーに承諾を得ずに送信元を偽って送信していた。送信数は1日約40万通,1カ月で約1200万通に及ぶこともあったという。

 2社の広告メールには,件名に「未承諾広告※」が含まれていない,受信許否を通知する際の連絡方法が記されていないなどの特定商取引法違反があった。また広告メール中や運営するWebサイトに事業者の住所や電話番号,代表者,メール・アドレスが表示されていないことも,同法違反とされた。そのため,経産省は2社に対して(1)通販の広告,(2)通販の契約申し込み受け付け,(3)通販の契約締結の3業務について,6月16日から9月15日まで停止するよう命じた。

 さらに,エス・ケー・アイが運営するアダルト画像サイトでは,トップ・ページで「規約」以外のボタンや画像をクリックするとすぐに,入会手続き完了の画面を表示する,などの特定商取引法違反があった。この点に関しては,「消費者の操作が契約申し込みになることを容易に認識できるようにすること」,「申し込み操作をするときに確認と訂正ができるようにすること」を指示した。

 同法で定める行政処分には指示と業務停止の2段階があるが,迷惑メール送信業者に業務停止命令が出たのは今回が初となる。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション