ミラポイント ジャパンは,メール・セキュリティ・アプライアンス製品「RazorGate」に「Mirapoint Junk Mail Manager」と呼ぶ迷惑メール対策の新機能を追加する。迷惑メールとして隔離したメールをユーザーがWebブラウザで確認できるようになる。8月中旬ごろの提供を予定する。米ミラポイント コーポレート・マーケティング & グローバル・チャネル 担当取締役のクレイグ・カーペンター氏(写真)に,新機能の狙いなどを聞いた。

――Junk Mail Managerを利用するメリットは。

 まず,正しいメールを迷惑メールと判断してしまう誤検知「false positive」による影響を抑えられること。RazorGateで誤検知が起こる確率はわずかだが,万一起こってしまった場合も,ユーザーが確認した上で自分のメール・ボックスに配信を指示できる。

 一般に,迷惑メールの判断基準を厳しくすると,false positiveの危険性が高まる。逆に緩めれば,迷惑メールを正しいメールと判断してしまう「false negative」が増える。Junk Mail Managerでユーザーが確認できるという“保険”があれば,管理者はより厳しい判断基準を適用することが可能になる。

 このほか,迷惑メールの内容を確認したり,個人用のブラックリストやホワイトリストを設定したりできるので,ユーザーの迷惑メールに対する意識を向上させることが可能。ユーザーの啓蒙に役立つ。

――ユーザーは結局,迷惑メールを見なければならないのか。

 必ずしもすべてのユーザーが確認する必要はない。迷惑メール対策を実施すると,誤検知があるのではないかと心配するユーザーが出てくる。誤検知の影響を抑えるというよりも,こうしたユーザーの心配をクリアする狙いが大きい。

 またJunk Mail Managerは,RazorGate上で隔離したメールのタイトルや送信者などの一覧を定期的にユーザーに通知する機能を備える。通知する間隔は日や週などの単位で自由に設定できる。この機能を活用すれば,ユーザーの確認作業を簡略化することが可能だ。

――米国における迷惑メールの状況はどうか。

 依然として増えている。この状況は,迷惑メールの送信がまだまだ“おいしいビジネス”である証拠だろう。米ラディカティ・グループと共同で実施した調査でも,「迷惑メールで金銭的な被害を受けたことがある」ユーザーが9%を占めた。既に多くの組織が技術的な対策を実施している米国の現状を考えると,上記の数値はかなり高い。

 このように技術だけで迷惑メールの問題を解決するのはかなり難しい。やはり重要となるのがユーザー教育だ。特にサービス・プロバイダはユーザー教育の大きな役割を担っていくべきである。その際には,Junk Mail Managerが貢献できると考えている。

――今後の機能強化予定は。

 前述の調査では,ユーザーの18%がインスタント・メッセージによる迷惑メッセージ「SPIM」(spam over instant messaging)を受信したことがあるという結果も出ている。今後はSPIM対策機能の搭載も検討していきたい。